ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

京都府精神障害者社会適応訓練事業

社会的自立に向けた一歩



 精神障害のある方で「働いた経験が少なく自信が持てない」「就職活動をしたいけれど、その一歩がなかなか踏み出せない」「就職活動の進め方がわからない」と悩んでいる方はおられませんか。


 精神障害のある方は、治療により症状は軽快していきますが、日常生活を送る上で、リハビリテーションが必要な場合があります。特に、働くという場面においては、業務の進め方、取り組み方はもちろんのこと、「報告・連絡・相談」といった職場の方とのコミュニケーションなどを学ぶことが大切になります。

 京都府では、精神障害のある方の社会参加を進めるために、理解のある協力事業所で働くことを通し、社会生活適応のための訓練を行っています(社会適応訓練)。具体的には、一般の企業に一定期間(原則6カ月、必要に応じて最長3年間まで延長可)通って働くことを体験し、仕事に対する集中力、持久力、円滑な対人関係を築く力や環境に適応する力を養い、自信や意欲を取り戻し、社会的自立を目指します。

 主な仕事内容は、清掃・箱折り・商品の箱詰めや整理といった軽作業、飲食店での調理補助や食器洗い、簡単なパソコン入力や事務など事業所によってさまざまです。また、精神保健福祉相談員、協力事業所と相談しながら進められるため、安心して取り組んでいただけます。ご本人の状況に応じて、勤務時間や日数を設定することもできます。

 実際の事例を紹介します。Aさんは、訓練開始当初週1回、1日2時間程度の訓練を開始しました。数カ月毎に、Aさん、協力事業所、保健所などの関係機関が集まり、体調の変化や仕事上で困ったことはないか、気分転換はできているかなどの確認をしました。そうしたサポートにより、Aさんの悩みや不安は徐々に解消され、3年後には週20時間の就労が可能になりました。

 京都府内で、過去4年間で延べ130人の方がこの事業を利用されています。訓練手当などの支給はありませんが、この訓練を利用された方からは「仕事に慣れるまでの間、自分のペースで仕事をさせてもらえた」「職場の人が優しくしてくださったので、仕事の楽しさがわかった」など、評価をいただいています。

 社会適応訓練を希望される方やご協力いただける企業の方は、最寄りの保健所までご相談ください。

(京都府健康福祉部障害者支援課課長 南孝徳)