京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●ふくしナウ
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。
暮らしを支える生活用品加齢による不便さ解消
暮らしはさまざまな用品に支えられています。炊飯器や冷蔵庫は言うに及ばず、私にとってはパソコンも今では大切な生活用品になりました。
必要な用品はその人の生活スタイルや身体の状態によっても異なります。その意味で加齢によりちょっとした不便が生じたときには、その不便さを補ってくれるモノが暮らしを支える用品となります。 私は60歳を過ぎた頃から、ボトルオープナーが必需品となりました。友人が手作りジャムを送ってくれても、自力ではフタを開けられなくな?たからです。また買い物時にはペンダントルーペという、首から下げる拡大鏡がいつも一緒です。老眼が進んだせいか、老眼鏡を掛けていても値札の6と8を間違えてしまい、レジで高い!と驚いたことがきっかけです。 友人のAさんは65歳を超えた頃から、少し耳が遠くなりました。特に生活に支障はないのですが、テレビの音量を上げたほうが聞こえやすいので、テレビの音は大きくなりました。本人だけで見ているときはそれで良かったのですが、家族と一緒に見ているときは、「音が大きいね」と言われて音量を下げます。こんな日々のなか、Aさんは自分用のテレビを買おうかと思うようになりました。でもそうすると家族と同じ番組を見てあれこれ話す時間が無くなります。
おかげでAさんは家族と一緒にテレビを楽しんでいます。実は2歳のお孫さんが昼寝をしているときにも、テレビの音でお孫さんを起こすことがないので、重宝しているそうです。 多くの相談を受けながら、このようなモノの情報が届いていないことを感じています。誰もが年をとり、身体は多かれ少なかれ衰えてゆきます。できれば不便が生じてからではなく、その前に自分から積極的に関心を持つことが大切です。不自由が重なると、気持ちが重くなります。でも生活用品はそれを変えてくれます。その意味では、気持ちを支えてくれるモノでもあるのです。 (高齢生活研究所所長・浜田きよ子)
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