ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

チャイルドライン

年6千件「声」受けめ



 チャイルドラインとは18歳までの子どもの専用電話のことです。初めはどのように利用したらよいかわからなかった子どもたちも、最近ではつらいことや楽しかったことを20分、30分と話します。たどたどしく話す子、全てを話してすっきりしたという子、さまざまな声がつながります。


チャイルドラインの相談啓発カード
 チャイルドライン京都を開設した2000年、青少年の事件の多発、いじめ、自殺、自傷行為、不登校、虐待、孤独や疲労感をもつなど、子どもたちを取り巻く厳しい環境がありました。

 社会不安、理不尽なおとなの対応、思いを発散する場や心のよりどころのない子どもたちの声を受けとめようとチャイルドライン京都を開設したのです。

 チャイルドラインは子どもの権利条約の理念・精神を基本として活動を進めています。

@子どもを一人の人間として尊重し、子どもの目線に立って物事を理解する。
Aおとなの考えを押しつけず、子どもの主体性を尊重する。
B子どもたちが安全で幸せに育つ権利を保障し、推進する。


 私たちは、社会を共につくるパートナーとして子どもを尊重し、子どもたちと関わることで、私たちおとなも成長する機会になると考えています。

 チャイルドラインは、全国40都道府県71団体との協働事業で、毎週月曜日から土曜日の午後4時〜9時まで電話を受けています。

 15年度の全国のデータによると、着信件数は約20万件、その内、チャイルドライン京都につながる着信件数は年間約6000件となります。

 私たちは、子どもたちと約束をしています。「秘密は守るよ」「名前は言わなくていい」「どんなことでもいい」「切りたいときに切ってもいい」この約束は、子どもたちの思いを最大限に受けとめるための約束です。子どもたちの声を受けとめる時に大切にしているのは、子どもたちには自己解決能力があると信じて受けとめることです。自己解決能力があると信じられない場合、お説教や指示的な受け方になります。また、子どもの発話を待つことも大切です。じっくりと子どもの発話を待ち、今の今をありのままに受けとめることで、さまざまな思いを話してくれるのです。これは、16年間、チャイルドラインを通して、私たちおとなが気づかされたことです。子どもたちは、受けとめてもらえたという安心感やコミュニケーションのあり方をつかんできています。

 子どもたちが思いを伝えられ、思いを受けとめるおとなが存在することで、地域社会に笑顔があふれんことを願っています。18歳までの子ども専用フリーダイヤル(0120)997777。

特定非営利活動法人チャイルドライン京都 理事長 外村まき)