ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

京都いのちの電話

つながりを大切に



 京都いのちの電話は「眠らぬダイヤル」として、24時間365日電話相談活動を続けています。


相談者からの電話を受けるボランティア相談員
 原点は1953年にイギリスで始まった「サマリタンズ」という電話相談組織です。「いのちの尊厳とはまず悲しみを共有することからはじまる」としたこの運動は世界各国に広がり、日本では71年に東京でいのちの電話が創設され、京都は82年に開局されました。現在では全国52カ所に広がっています。日本いのちの電話連盟としては毎月10日をフリーダイヤルの日と決めて無料で各地のいのちの電話につながります。

 京都では毎日、電話がかからない時間がほとんどなく、開局以来の受信件数は76万件になろうとしています。電話の内容は多岐にわたりますが、一人一人の苦しみや悩み、悲しみが電話線を通して伝わってきます。双方とも匿名なので相談者は見知らぬ相談員の生の声と出会います。若い方たちは電話よりもSNSなどによる対話を選ばれる傾向がありますが、電話で相談員につぶやいたり話したりする方が「つながりの実感」が得られるのではないでしょうか。誰ともつながらなくても生きていくことができてしまう便利な社会だからこそ、私たちは人とつながることを大切にしています。人と出会えば、「独り言」は「対話」になり、相談者はそんな「時と場」を持つことで苦しい今をやり過ごし、少し変化することができるかもしれません。

 各地域のいのちの電話では独自の研修システムで相談員を養成しています。京都では相談員は常に自分を振り返りながら研修を重ねて成長していきます。「何度もやめたくなったことがあったけれど、続けてきてよかった」「相談者との関わりの中で常に歩んでいる」などの声があり、相談員は相談者との出会いが自身を歩ませてくれたことを実感しています。「振り返ることによって」意味ややりがいを感じることができるボランティアだからこそ、全くの手弁当の活動なのに、仕事をしながらも続けておられる方が多いのだと思います。

 京都いのちの電話を必要とする人がいるのであれば、私たちはこの活動を続けて行きたいと願っています。相談員応募者の減少、寄付金減少に対し今後も工夫と努力をしていきたいと思います。2月、3月には傾聴講座や「いのち」、「こころ」に関わるテーマの公開講座(同時に相談員募集説明会)を開き京都いのちの電話への理解をお願いしていますので、興味のある方は是非ご参加ください。

 相談電話075(864)4343。自殺予防いのちの電話(毎月10日)0120(783)556

(京都いのちの電話事務局長 中瀬真弓)