ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

滋賀県高次脳機能障害支援センター

足を運んで連携づくり




相談の電話に対応している支援員
 高次脳機能障害者・家族への支援は、2006年度から「高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業」が開始され、各都道府県に支援拠点機関の設置が進められました。

 支援内容にはそれぞれ特色があり、地域性と各支援拠点機関の強みを生かした支援ネットワークが都道府県ごとに作られています。交通事故や病気などで脳に損傷を受け、身体障害などが伴わない高次脳機能障害者は福祉の谷間に陥り、障害福祉サービスを受けることが困難でした。しかし、普及事業開始後から精神障害者保健福祉手帳を取得することができるようになったり、診断書や自立支援医療(精神通院医療)を用いることでも生活訓練などの福祉サービスの利用が可能になりました。

 滋賀県では、社会福祉法人グロー(GLOW)が06年に県から受託し、支援拠点機関として滋賀県高次脳機能障害支援センターの運営をしています。職員は臨床心理士・精神保健福祉士、相談支援員の3人が配置されています。主な事業内容は当事者・家族・支援者への相談支援、普及啓発、地域支援ネットワークの構築などを行っています。

 高次脳機能障害は社会的にまだまだ知られていない現状があり、当事者・家族が安心して生活できるようにポスターやパンフレットを作製し配布したり、研修会を実施するなど普及啓発活動を行っています。

 相談支援では10代〜70代くらいまでの幅広い年齢層の相談を受けています。相談内容も高次脳機能障害にまつわる診断・リハビリについて、障害福祉サービスの利用、就労支援、生活支援などさまざまです。このような相談に当センターでは医療・福祉・教育など多領域の機関と連携し、相談に来られた方の住み慣れた地域での生活を支援していくために、住んでおられる地域に足を運び当事者・家族と支援者のつながりを作っていくことも大切にしています。

 高次脳機能障害の症状には、記憶障害や注意障害などがあります。また、ささいな事で怒ったり、欲求が抑えにくくなったり、声をかけないと行動しづらいなどの社会的行動障害のある方への支援では、地域の支援機関につながりにくくなりやすいのが現状です。

 当センターは自宅や医療機関、障害福祉サービス事業所などにうかがい、当事者・家族と面談したり支援者と相談したりしながら環境の調整を行い、当事者と家族がより地域での生活がしやすくなるよう支援を行っています。一人で悩まず、支援拠点機関にご相談ください。

 滋賀県高次脳機能障害支援センター077(561)3486=月〜金曜午前9時〜午後5時▽京都府健康福祉部リハビリテーション支援センター相談支援窓口専用電話075(221)2611=月〜木曜日午前9時〜正午▽京都市高次脳機能障害者支援センター075(823)1658=月〜金曜午前8時30分〜午後4時

(滋賀県高次脳機能障害支援センター)