ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

ボッチャ

誰でもできるパラ種目




ボッチャ大会で競技する傷害のある人たち(京都市左京区・市障害者スポーツセンター)
 皆さん、「ボッチャ」という競技をご存じでしょうか? ボッチャは重度の障害のある人のためにヨーロッパで考案されたスポーツで、現在、世界各国で行われています。

 ボッチャは、バドミントンとほぼ同じ広さのコートを使用します。競技は、赤・青の2チームに分かれ、ジャックボール(的球)と呼ばれる白いボールにそれぞれのボールを投げる、転がす、他のボールに当てるなどしてジャックボールにいかに近づけるかを競います。皆さんがご存じのカーリングに似た競技といえば、イメージできるでしょうか。試合は、1対1の個人戦、2対2のペア戦、3対3のチーム戦の3種類があり、男女混合で競技を行います。参加する選手は、重度の脳性まひや頸髄(けいずい)損傷、筋ジストロフィーなど四肢に障害があり、車いすを使用しています。その障害の重さによって四つのカテゴリーにクラスを分けて競技を行います。

 障害によってはボールを手で投げることができない選手もいます。そんな場合、選手は足でボールを蹴ったり、介助者とともに「ランプ」という勾配具を使用してボールを転がします。ランプを使用する場合、介助者は、選手の指示に従って角度や高さを調節しますが、選手へのアドバイスは禁止されており、コートの方を向くことはありません。

 ボッチャは古くは、6世紀のイタリアにおいて現在のルールに近い競技が行われていたといわれています。20世紀になって重い障害のある人々が参加できるようルールが整備され、1988年のソウル大会からパラリンピックの正式競技として実施されています。日本でも97年に日本ボッチャ協会が設立され、現在では国内の各地でボッチャ大会が開催されています。

 京都市障害者スポーツセンターでは、2000年1月に京都新聞社会福祉事業団との共催で第1回ボッチャ大会を開催して以来、ボッチャ競技の普及に努め、来年1月には第20回目の記念大会を開催する予定です。大会では、ボャチャを一人でも多くの皆さんに知っていただこうと重度障害の方はもちろん、その他の身体障害や知的障害、精神障害などすべての障害のある皆さんが参加できる大会として開催しています。

 皆さんも東京2020パラリンピックの前にボッチャ競技を体験してみてはいかがでしょうか。(京都市障害者スポーツセンター次長 猪飼聡)