ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

理学療法士

障害者から運動選手まで




京都府民公開講座の様子(7月15日、京都市下京区・キャンパスプラザ京都)=府理学療法士会提供
 理学療法とは病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動と温熱・電気・水・光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。理学療法の対象者は主に運動機能が低下した人々ですが、そうなった原因は問いません。病気、けがはもとより、高齢者や手術により体力が低下した方々などが含まれます。運動・動作の専門性を生かし、福祉用具の適用相談、住宅改修相談も行っています。最近では高齢者の運動機能低下予防対策やメタボリック症候群予防など障害のある人に限らず健康な人々に対しての予防リハビリテーションの分野にも広がりつつあります。さらに、スポーツ分野では小中高生のコンディショニングから競技復帰サポート、プロスポーツにおけるパフォーマンス向上に至るまで理学療法士の活躍する場が広がっています。東京2020オリンピック・パラリンピック≠ナは日本理学療法士協会が中心となり、選手村などに数百人規模の理学療法士派遣を予定しています。京都府内でも事前合宿などに対応できる人材育成や支援組織づくりを始めています。

 災害被害が頻繁にみられる昨今、リハビリテーション分野の関わりも注目を集めています。本会では、災害対策を強化し、大規模災害発生時には、理学療法士としての専門的知識を活用し、地域住民の健康維持、障害者および高齢者の活動性の維持改善を目的として、被災地の行政および多職種と密に連携し、支援活動を行っていく態勢づくりに取り組んでいます。

 理学療法士は病院、診療所、老人保健施設、デイケアや訪問リハビリテーションなどの在宅関連施設、養成校での理学療法士教育や専門分野研究、行政機関などの施設で働いています。これら理学療法士が所属する、一般社団法人京都府理学療法士会は2020年に創設50年を迎え、京都府内には18年9月現在で2672人(357施設)が所属しています。例年開催している府民公開講座や介助教室の開催などを通じて、京都府民の健康づくりの一助となればと考えています。また、7月15日を「理学療法の日」と制定し、毎年全国一斉に介護予防キャンペーンイベントを執り行っています。公開講座や理学療法士が所属する施設情報など、詳しくは府理学療法士会ホームページをご覧ください(http://www.kpta.jp)。

(京都府理学療法士会会長 麻田博之)