ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

チャイルドライン

吐き出す思い 耳を傾け




子どもの気持ちを聴く受け手ボランティア(提供写真)
 チャイルドラインは18歳までの子どもたちの専用電話です。

 全国40都道府県70団体との協働で、月曜日から土曜日までの午後4時から9時まで、さまざまな電話を受けています。

 チャイルドライン京都(会員60人、賛助会員67人、ボランティア35人)は、2000年に開設して以来19年間、ひたすら子どもたちに寄り添い、約11万件の声を受けとめてきました。17年度は、全国で年間約20万件の着信があり、このうち京都の着信は7884件でした。開設時間の午後4時から9時までは電話が鳴り続ける状態です。

 昨今の子どもに関するマスコミ報道で多く取り上げられている、いじめや自死、虐待、貧困などの深刻な内容の電話もかかってきています。私たちは電話の特性と限界を認識しながら、子どもたちの気持ちを聴くことに留意しています。傾聴以外の対応の必要な場合も、子どもから求められた場合のみ、子どもが必要とする情報提供を行いますが、基本的には指示や指摘はしていません。

 プライバシーに配慮し再構成したものですが、子どもたちの声の一部をお伝えします。▽学校に行きたくない。いじわるされる▽母親が離婚し、生活が苦しくて困っている▽親の離婚で再婚した父親と同居、そこには自分の居場所がない▽カッとなると自分の気持ちを抑えられない。父親もそうだ。感情が抑制できない…苦しい▽友達ってどうやって作れますか? おとなしいから元気な子は苦手。グループを作っているから…。

 心身ともに安心して過ごせない、居場所がない子どもたちの声です。このような環境の中で子どもたちはどのように成長していくのでしょうか?

 子どもたちは、困難な日常の中で、つらい思いや身近で起こるささいな思いを吐き出してくれます。電話がつながった時の沈んだ声が、抱えている気持ちを十分に発散して穏やかな声、気持ちに変化する瞬間があります。私たちは、一人でも多くの子どもたちにこの瞬間が来ることを願っています。

 子どもたちは話すことで自分の気持ちを整理し、解決の糸口を見つけていきます。受け手のボランティアは「子どもたち自らが歩み出すきっかけがつくれたり、少しでも前に進めたらいいな」という気持ちで毎回電話に向かっています。

 子どもたちの生きづらさに気付かれた方々、少しの勇気を持って子どもたちに手を差し伸べてください。

 さまざまな支援で、網の目のように包み込まれるような環境づくり、子どもたちの笑顔があふれる町づくりを進めていきませんか。18歳までの子ども専用フリーダイヤル(0120)997777。(特定非営利活動法人チャイルドライン京都理事長 外村まさ)