ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

府脱ひきこもり支援センター

社会との関係を再構築




府脱ひきこもり支援センターのある府家庭支援総合センター(京都市東山区)
 「ひきこもり」とは、さまざまな要因によって長期間、就学や就労、家族以外との交流を避け、自宅中心の生活になっている状態を言います。今年3月、内閣府から、40歳から64歳のひきこもり状態の方が全国に推計約61・3万人と発表されました。40歳未満の方を含めればひきこもり状態の方は100万人以上と推定されます。

 周囲との摩擦によるストレスが原因の場合や、原因が特定できないなどさまざまですが、甘えや怠け、育て方の問題ではないにもかかわらず、本人も家族も自分を責めてしまい、不安や孤立感を抱えがちです。

 京都府では、2009年度から身近な地域で相談いただけるよう、支援ノウハウを持つ民間団体に委託し、ひきこもりの専門相談窓口「チーム絆・地域チーム」を設置しました(現在6カ所)。さらに、ひきこもりからの自立支援を総合的に取り組んでいくため、17年4月に「脱ひきこもり支援センター」を設置しました。臨床心理士、教員OB、精神保健相談員と多様な職種の職員を配置しており、おのおのの専門性をいかしながら、相談対応やより効果的な事業を企画し取り組んでいます。

 17年度に京都府が実施したひきこもり実態調査では、ひきこもり期間10年以上の方が28%と長期化傾向にあること、年齢が高くなるほど経済的困難が高まることなどがわかり、早い段階からの適切な支援が重要と痛感しています。

 支援に当たっては、相談員が家族や本人の話を丁寧にお聴きし、課題の整理などを行います。その上で少人数のグループ活動を通じてコミュニケーションの力を付ける支援、就労や就学の準備のサポート、また家族がともに学び交流する「家族教室」や、地元企業の協力を得て就労体験を行う「職親事業」、親が亡くなった後も見据えた将来設計を支援する事業など、一人一人の状態に応じた支援を実施しています。

 また、不登校をきっかけにひきこもり状態となるケースも多いことから、今年度から教育機関との連携を強化し、中学校在籍中から支援を行う新しい仕組みを構築していきます。

 さらに、ひきこもりに悩んでいる家庭を地域で支えるため、市町村職員や地域ボランティアの方を対象にした研修会なども実施しています。

 今後も、本人や家族が社会との関係を結び直し、自分らしく安心して生活できるよう取り組みを進めていきたいと考えています。脱ひきこもり支援センターひきこもり相談専用電話075(531)5255

(京都府脱ひきこもり支援センター)