ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

要約筆記者

速く正しく、話を文字に




講習会で講師の話を要約する要約筆記者(提供写真)
 要約筆記についてご存知ですか。講演会や催しの会場で、スクリーンに話し手の言葉が文字として表出され、その近く書画カメラ(OHC)を囲み適宜交替し文字を書いたり、パソコンに向かいタイピングしているのが要約筆記者です。

 要約筆記者になるには、京都府など主催の要約筆記者養成講座(前期、後期)を受講後に、認定試験に合格したら資格が取得できます。昨年度、京都府内では、京都市を含め、手書き17人、パソコン7人の要約筆記者が誕生しています。

 要約筆記の方法は、手書き(OHC、ノートテイク)、パソコンがあり、会場や内容、利用者の状況により使い分けられています。文字情報には、記録、筆談、字幕、テロップなどいろいろありますが、要約筆記は、音声情報をその場で文字で伝え聴覚障害者の参加を保障する役割があります。

 普通、話す速さは、1分間約300〜350字、書く速さは、1分間60〜70字と2〜3割しか書けません。そこで、削除・省略・置換などの技術を取り入れ、話についていく工夫が必要です。「速く」「正しく」「読みやすく」は要約筆記の三原則です。その場での参加保障なので遅れず意図を正しく伝え、読み続けても疲れない表記が権利を擁護することにつながります。

 数人で担当するためチームワークも大切で、「メイン」が主に書き、「サブ」が補筆・訂正、「引き手」がロールを引きながら画面管理をしています。常に、話を聞きながら、まとめながら、書きながらの作業をしています。文字の大きさなど統一表記が大切です。汗かき、恥かき、字を書くということばがぴったりでは?

 今、京都府、各市町で手話言語条例が制定されていますが、聞こえの共生社会を実現していくには、手話、要約筆記、ヒアリングループ、音声入力などさまざまなコミュニケーション手段を利用できる環境づくりが必要です。最近は、講演会などで、話し手・資料画面・手話通訳・要約筆記画面が目線を移動しなくても見られる「同一視野」も取り入れられてきています。

 京都府要約筆記サークル連絡会は25の要約筆記サークル(北部7、中部12、南部6)で構成しています。要約筆記に関心のある人はぜひ、問い合わせてください。

 問い合わせは京都府聴覚言語障害センター0774(30)9000。(京都府要約筆記サークル連絡会)