ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

オストメイト

生活上の不安を軽減




「オストメイト用設備/オストメイト」を示すピクトグラム(図記号)
 最近、駅や行政の施設に、図のようなピクトグラム(図記号)のある多機能トイレがあることをご存じでしようか? これはオストメイトの方が優先的に使用できるトイレのことで、日本オストミー協会の会員さんの運動で実現した専用のトイレです。

 オストメイトとは、何らかの原因(病気・ケガ)で、腸や膀胱(ぼうこう)などを切除し、お腹の腹壁に代わりの人工肛門や人工膀胱を造設した方のことです。人工とはいえ、腸や膀胱と同じ機能があるわけではありませんので、ためる機能として腹壁にパウチ(袋)を添付して受けるわけです。腹壁の状態やパウチの張り方などのトラブルにより漏れたりすると大変なことになります。また、外出時にはたまったものの排出やパウチの取り換えが必要となり、専用のトイレがあると安心して出来るわけです。

 現在、正確な数値はわかりませんが、オストメイトは全国で20万人、京都府内では4500人の方がおられると言われています。

 日本オストミー協会は、オストメイトになられた方の困りごとやケアの充実のための団体で、前身の互療会が1969(昭和44年)に発足し、その後公益社団法人日本オストミー協会となり、今年50周年を迎えました。

 京都府支部はその2年後から48年にわたって本部と一緒にオストメイトの社会復帰のために活動してきて来ました。その成果として、身体障害者としての認定や、障害年金の受給等ができることとなり、福祉面での向上を得ることができました。

 また、京都府内では相談事業として、京都府の「障害者の明るい暮らし」促進事業の社会適応訓練講習会を事業受託し、毎年、全域で講習会や相談会等を医師や専門の看護師に来ていただいて実施しています。

 突然、オストメイトになられ不安がいっぱいの時に手助けになる講習会として、どなたでも参加いただけます。また、元気に活躍されている、先輩オストメイトの方とお話ができ、交流することで同じ悩みを共有でき精神的にも、癒やされることにもつながります。

 現在、京都府支部では、オストメイトのクオリティ・オブ・ライフを目指して色々な事業を行っていますが、重点活動として、3つの不安の解消を行っています。

  1. 外出時の不安…オストメイト対応トイレの拡充とスマホによる設置場所の検索
  2. 災害時の不安…避難所などにパウチの支給やトイレの確保
  3. 介護時の不安…介護士によるオストメイト教育の充実とパウチの交換

 オストメイト状況は、この50年間で、福祉の拡充、医療の技術の向上とケアーの充実、使用装具の改善等色々な面で変わってきています。新しい時代の、オストメイトの社会復帰と生活の向上に合わせた活動が重要となっています。これからもさらなる課題に取り組んでいきたいと思っています。

(日本オストミー協会京都府支部支部長 小田原俊夫)