ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

訪問看護

人生史にも関心寄せて




利用者と語らう訪問看護師(提供写真)
 「訪問看護」をご存じですか? 「病気や障害があっても家で暮らしたい」「最期まで住み慣れた家にいたい、でも不安」このような時、訪問看護は地域の在宅医やケアマネジャーらと協力しながらその方々の生活を支援します。

 具体的な内容としては、心身の状態の観察、入浴や排せつなどが安全にできるよう工夫をしたケアや、床ずれなどの予防や処置、身体に留置されている尿の管や点滴などの管理、日常生活動作に密着したリハビリ、認知症の介護相談・事故防止などの助言、その他精神疾患、小児、終末期(看(み)取り)における看護などがあります。地域で暮らす赤ちゃんから高齢者まで、一人一人に合った支援を行います。

 住まいに看護をお届けする…その際に私たちは、まずその方々のお家に自然に溶け込み親しみやすさを醸し出すことがご本人やご家族の気持ちを和ませ、笑顔につながると感じています。看護の手技的な技術のみにとどまらず、「相手を大切に思う気持ちを表現することや人生史にも関心を寄せること、ひとりの人間として対話すること」がとても大きな意味を持ちます。そして誰にでもいつかは訪れる「人生の最終段階」を考える時には、「このような医療やケアを受けたい」「こんなふうに生きたい、幕を閉じる時にはこうしたい」などご自身の気持ちを語ることや、ご家族と話し合う機会を持ち、願いや希望がかなえられるように支援することも訪問看護の重要な役割です。

 このように訪問看護は「心と身体」へのケアが重要であり、訪問看護師の力量が問われます。京都府訪問看護ステーション協議会では、訪問看護に関する知識・情報の普及や研修を随時行い、訪問看護の質の向上に取り組んでいます。

 京都府内には310事業所があり約1600人の訪問看護師が従事しています。訪問看護ステーション数は増加していますが地域によって偏在しており、高まる需要に応えきれていない実情もあると同時に、まだまだ訪問看護が周知されていないという課題もあります。当会では毎年「訪問看護の日」として府民向け公開講座を開催しています。今年も4月18日(土)午後2時から京都市中京区の佛教大学二条キャンパスにて「地域での温かな看取りに向けて」をテーマに開催いたします。多数のご来場をお待ちしています。問い合わせは同協議会事務局075(744)1678。

(一般社団法人京都府訪問看護ステーション協議会会長 濱戸真都里)