ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

手話言語条例

音声と対等、認識普及を




手話言語条例制定後にスタートした「聞こえのサポーター」養成講座=京都市南区・京都テルサ(提供写真)
 1995年「星の金貨」、2000年「君の手がささやいている」、04年「オレンジデイズ」など、きこえに障害のある人を主人公とした連続ドラマが放映された影響で手話に関心をもち「手話を習いたい」と手話ブームが日本中において一時的に広がってきました。

 しかし、手話が言語であることがまだ理解されておらず、手話がコミュニケーション手段であると認識している人はまだまだ少ないです。

 言語には音声言語と手話言語(日本では「手話」という言い方が一般的になっている)があることが、06年世界共通となる国際障害者権利条約で認められました。日本では障害者基本法で「言語(手話を含む)」と明記されました。そして、今、手話言語は音声言語と対等な言語であることの理解と普及が必要となっています。

 国民に手話言語を理解また普及させ、きこえない・きこえにくい人がきこえる人と共に生きる社会をめざすためには、手話言語条例を制定させることから始めようと、当事者団体が手話サークルなどの手話関係者と力を合わせて行政に働きかける運動をしてきました。

 そして、京都府内では15年3月の城陽市での「手で輪を広げる城陽市手話言語条例」制定を皮切りに、16年3月京都市「京都市手話言語がつなぐ心豊かな共生社会を目指す条例」、同年12月向日市「古都のむこう、ふれあい深める手話言語条例」、17年12月綾部市「綾部市手話言語の確立および多様なコミュニケーション手段の促進に関する条例」、宇治市「宇治市手話言語条例」、18年3月京都府「言語としての手話の普及を進めるとともに聞こえに障害のある人とない人とが支え合う社会づくり条例」など、12自治体(1府9市1町)で条例が制定されました。

 これに伴い府内では、市民向けや団体職員向けの啓発講座、手話ガイドブック発行、ホームページ(HP)の手話動画など手話に関する取り組みの機会が増えてきました。しかし、職場や日常生活で必要な情報保障が受けられず、課題に直面するケースが山ほどあります。

 また、自分の思いを自分の「言葉」で表現できる環境がない子どもたちが大勢います。子どもたちは、集団のなかで育ちます。手話が言語であることの理解は子ども・家庭・教育関係者にも広がっていく必要があります。乳幼児の時から、手話言語が大切であることを知ってもらう機会が必要です。

 きこえに障害のある、ないを問わず、お互いに支えある共生社会を一緒に作っていきませんか。きこえに障害のある方と関わりを深めたい、手話を学びたい、伝え合う喜びを共有したい方、京都市聴覚言語障害センターまでご連絡お待ちしております。

(京都市聴覚言語障害センター 篠田あゆみ)