ここでもう一人、悪友を紹介する。障害者支援センターにいた職員だ。そいつとは2004年から、福知山と綾部で、クリスマスコンサートと、地域交流会というイベントをやっている。
事の始まりは、その夏、大森氏とやったコンサートで、ギターをひいてくれたのを聞いて、クリスマスぐらいは、障害のあるなし関係なしに、みんなが楽しめるイベントにしたい、というものだった。顔も知らない仲間が集まり、話し合いみたいなものがあり、それが知らぬ間に実行委員会になり、広がりを生む。
最初はそいつと僕だけが意見を言い合う3年だった。みんな遠慮がちで、役割分担なんかなかなか決まらなかった。ところが、実行委員長をやりたいと言ってくれる人が現れた。さらに、外出が困難で1年で1回しか出られない人がコンサートを楽しみにしてる、と言われたのをメンバーに告げると、去年、いつもおとなしい女の障害者の人が、自分から司会をすると名乗り出てくれた。
僕は大変失礼ながら、大丈夫かなと思った。ところが、当日聞こえて来たのは、堂々とした澄んだ声。女子アナ顔負けの、名司会ぶり。
僕は何もしてないのだが、その悪友が口癖のように「お客様、演奏者様を笑顔で出迎えるのが、実行委員の役目だ」と言っていた。2年前、どこかに左遷された。本人は栄転だと言っていたが。
こうして僕は、毎年、毎年、実行委員のメンバー、コンサートの参加者、お客さんというサンタから、同様の感動をもらっている。だが今、介護会社が事業拡大しすぎて人手不足で、今年の実行委員会に、行けるか心配だ。経営者の皆様、僕らには近くの未来にも、ちょっとした外出にも、行けないのですよ。どんな便利な世の中になっても、人の手より必要なものはないって、何人にもわかってほしい。自分の理想論だけを言うのもいいけど。
今回で僕のコラムは終わる。書き足らないこともあるが、そのぶんは詩に書きたいと思っている。下手な文で、気を悪くした方におわび致します。最後になったが、誰もが、生きがいを持って暮らせる世の中を望み、このシリーズを終わる。
六畳半の宇宙人、川北浩之。