ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
シンポ傍聴席  障害のある人の就労支援

社会の一員になれる喜び
地域の企業と専門機関が連携


 シンポジウム「障害のある人の就労支援」(京都新聞社会福祉事業団主催、山城障がい者就労サポートチーム調整会議=通称・はちどり=共催)が18日、京都市中京区の京都新聞文化ホールで開かれ、障害のある2人の当事者らが基調講演した。

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基調講演を行う畑中由美さん(左)と同僚の小畑千春さん
 脳性まひで肢体が不自由な畑中由美さん(45)は、長岡京市社会福祉協議会乙訓障がい者地域生活支援センター「キャンバス」で、障害のある当事者同士で相談や助言を行うピアカウンセラーとして働いている。

 畑中さんは特別支援学校卒業後、通所施設に通いながらピアカウンセリングやパソコンの研修を受講2007年から今の職場で訪問ピアカウンセリングやメール相談、社協ホームページ作成などを行っている。

 講演では「人の話を聞くのが好きなので、やってみたいと思った。チームで信頼関係を築き、社会の一員として働くことが喜び」と語った。

 パソコンのキーボードは口で、マウス操作は足でできる特殊なものを使う。同僚の小畑千春さん(45)は「職員が一緒に通勤するなどの介助は必要だが、特別に手厚くしているわけではない」と話した。

 宇治市の建築工事業「かわな工業」に勤める知的障害のある男性(39)は「人と接するのは苦手だったが体力があるので明るく元気にチャレンジしようと考えた」と志望動機を語った。

 工具や金物の整理や資材管理、持ち出し伝票のチェックなどを任されており、河原林一樹社長(51)は「(男性は)陰の力としてみんなを支えてくれている」と評価した。

 その後、「ともに成長し続けるネットワーク〜障害のある人が地域で働くために〜」と題して、「はちどり」のメンバー5人が報告した。

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京都新聞社会福祉事業団が主催した、障害のある人の就労支援を考えるシンポジウム(18日、京都新聞文化ホール)
 「はちどり」は宇治市など京都府山城北保健所管内の企業、医療、福祉、行政、教育、支援センターなど16機関が連携して障害のある人の就労を支援する。09年春に今の名称でスタートした。

 山城北保健所精神保健福祉相談員の時澤久美子さんは「今、この人とこの人をつなごうと思ったらすぐ誰かに相談できる。それが『はちどり』」と、特徴を語った。

 「はちどり」の事務局を務める障害者就業・生活支援センター「はぴねす」センター長の日置貞義さんは「さまざまな専門機関があるので安心して支援を受けられる。南丹市の団体から問い合わせを受けるなど地域的な広がりも感じる」と述べた。

 府立洛南病院作業療法士の岩根達郎さんは「精神障害のある人について診察室で分かることは限られる。職場などから情報提供があれば薬の量を調整するなど役に立つことが多い」と医療の立場から語った。

 宇治市の近鉄小倉駅近くでコンビニエンスストアを営む「小都里」(ことり)代表取締役の小泉浩さんは、社会適応訓練事業で障害のある人を受け入れた経験を発表。「従業員同士で声を掛け合ったり、職場みんなが優しくなった」と良い変化を語った。

 京田辺市で幼児園などを運営するEL―LISTON代表取締役の林剛さんは「福祉や医療だけでなく企業も入り、互いに謙虚な中にもきついことを言い合える。興味のある人は連絡ください」と呼びかけた。