ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
シンポ傍聴席  不登校の子どもの支援

個々の特性の見極めが大切
親と学校、連携して解決を


 不登校・登校拒否問題滋賀県連絡会主催の集い「学び合おう、語り合おう、子どもたちをまん中に」が10日、草津市立まちづくりセンターで開かれた。不登校で悩む子どもたちの親らが多数参加する中、元滋賀県心の教育相談センター所長の久郷悟さんが講演した。久郷さんは教師としての経験をもとに「子どもは一人一人違う。いかに一人一人の特性をきちんと理解するかがポイント」と語り、親と学校、関係機関との連携の大切さを強調した。

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「不登校の子は強い。私は彼らが大好きです」。講演する久郷悟さん
 久郷さんは▽学校には行けるが教室には入れない▽登校できないが元気に家でゲームなどをしている▽自室にひきこもっている―などさまざまな状態を紹介。過去の相談事例から「不登校の子は強い。将来に向けて、人生を作り直そうとしているのです。そう考えると『うちの子はすごいやつやなあ』。少しは気が楽になりませんか」とアドバイスした。

 また「みんな待ってるよ」というクラスメートや担任の先生からの励ましの手紙を読んだ子が実際に登校した事例について「先生も友だちも以前の様子と変わらなければ、ますます自分がほったらかしにされたような疎外感を感じ『なんやウソか』『どうせ先生が書かしよったんやろ』と、よけいに学校に寄り付かなくなります。その子がどう考えているかを知らないと、良かれと思ったことが逆のことをやってしまいかねません」と注意を促した。

 不登校の子の多くは発達障害があることにも触れ「PDD(広汎性発達障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)の子は『頑張りたい』『みんなと一緒にやりたい』と思っています。ところがうまくできないのです。その困り感をどう考えてかかわるかが重要な鍵。学校が親からの情報をどんどん得て耳を傾けてくれると回復は早い」と「個別の指導計画」の重要性を語り、教師には「子どもが自分で思いを話したらそれは本物だから、時間があれば子どもと積極的にかかわる(遊ぶ)ことが大切」と述べた。

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不登校の子を持つ親らが参加した「学び合おう、語り合おう、子どもたちをまん中に」の集い(10日、草津市立まちづくりセンター)
 事例として、不登校の子について校内でその子の特性理解と具体的手だてを協議、子どもの心を開くために、まず心許せる教師が家庭に赴き、ゲーム等本人の興味ある活動を共にして、担任をはじめ校長以下職員がかかわりを広げていく。家庭から別室へとつなぎ、仲の良い友だちへとつないでいく。やがてその友だちが支える形で教室に復帰できたケースを紹介。「その子自身、保護者だけにがんばれという考えは誤りで、周りがいかに理解し、いかに支えるか」「自信がつけば友達の輪を広げていけるものですよ」と語った。

 久郷さんは「子どもの視点で手だてを講じ、効果を振り返り評価を加える。Aという子にうまくいったからといってBという子にうまくいくとは限らない。一人一人の違いを見極めるのが大切」と強調。「支える仲間はいっぱいいます。私は不登校の子も発達障害の子も大好き。なぜなら自分自身で自信を取り戻し、自分で乗り越え、強い生き方に変えていってくれるから」と結んだ。