ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる  京都新聞福祉活動支援助成

事業団設立時から 善意が生きがい生む
商品包装一新や送迎車購入など活用

 
 京都新聞社会福祉事業団は京滋で福祉活動を続ける団体や施設などに毎年、助成金を贈っている。「ともに生きる社会」の実現に向け、事業団設立の1965年から続く息の長い事業で、多くの善意が生かされてきた。昨年度の27助成団体のうち2団体を紹介し、具体的にどのように使われ、活動の輪が広がっているかを報告する。


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より魅力のある製品に向けて、近くパッケージも一新する(亀岡市・第三かめおか作業所)
 亀岡市の第三かめおか作業所。11年前に開設され、現在は若者を中心に42人の知的障害者が一般社会での就労をめざし、作業に励んでいる。作業所の仕事は大きく3つに分かれる。亀岡産のもち米を使ったポン菓子やせんべいを手作りする班、地元産の有精卵を使用し、ケーキやクッキーを作る班、それにスーパーなどから委託された清掃や草刈りなどの作業に励む外周り班だ。お菓子づくりの仲間たちは、注文品を作ったり、市内外の店舗などで販売するため、週末もローテで作業に当たっている。売り上げはここ4年で2倍の年間800万円まで伸びた。

 商品の魅力を高めるには、パッケージのデザインも大切だ。現在は職員が考案したデザインの品で包装しているが、近く福祉事業団の助成金を生かしてパッケージを一新する。また、商品紹介のパンフレットも新しく作り替える。「忙しくなることがうれしい」という作業所の仲間たち。助成金がより大きい働きがいを生み出している。所長の日下部育子さん(46)は「いい製品を作って社会に認めてもらい、社会が障害者に目を向ける。それが、社会全体を豊かにするきっかけになる」と期待する。

 「送迎車が2台になり大助かり」と語るのは、宮津市の児童発達支援センター「すずらん」施設長の稲穂三和子さん(50)。この春に助成金を生かして7人乗りの普通車を購入し、同じく助成金で8年前に買った軽自動車とともに子どもたちの送迎にフル回転している。

 すずらんは13年前に開設され、宮津、伊根、与謝野の3市町を対象に、発達に遅れやつまずきのある幼児から小学生までの子育て支援を続けている。幼児療育は週1〜2回、母親とともにセンターに来てもらい、運動や音楽、言葉遊びなどを通して、保護者と一緒に発達プログラムを作成している。また、週5日間、放課後などにセンターを訪れる小学生には、集団生活の適応活動などを訓練している。この際、活躍するのが2台の送迎車。1台の時は2往復したり、タクシーの使用などを余儀なくされた。稲穂施設長は「決まった時間に送ることが大切」といい、「子どもの成長を親と共有しながら、各事業を進めている。母親から子どもとの関わり方が変わったと言われると、うれしい」と話している。


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「送迎がスムーズになった」と稲穂施設長(宮津市・すずらん)
 2013年度の他の助成団体は次の通り。

【運営助成】
京都北部手話サークル連絡会(与謝野町)▽京都BNN卓球団(京都市北区)▽京都YWCA親子ライブラリー(上京区)▽京都タオル帽子の会(同区)▽京都ファミリーハウス(中京区)▽自立生活支援研究会(下京区)▽テンダーハウス(左京区)▽助けあいグループりぼん(東山区)▽京都YMCA長岡こおろぎ(西京区)▽ジョイント西京視覚障害者ボランティア(同区)▽しょうがいしゃ馬っ子の会(同区)▽唐崎にバスを走らせる会(大津市)

【設備助成】
京都犯罪被害者支援センター(上京区)▽京都ほっとはあとセンター(中京区)▽もっと笑顔(西京区)▽ケアホーム・なるたき(伏見区)▽ワークセンター宇治作業所(宇治市)▽チェリー工房(城陽市)▽福祉ホーム ハイツ竹とんぼ(長岡京市)▽Joint Joy(八幡市)

【東日本大震災被災者支援】
京都府避難者支援プラットフォーム(下京区)▽みんなの手(伏見区)▽さぽーと紡(同区)▽関西浜通り交流会(同区)▽東日本大震災滋賀県内避難者の会(大津市)