ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

京都新聞福祉事業団の福祉活動助成

地区に巡回バス・施設に新空調

 
 今年設立50周年を迎えた京都新聞社会福祉事業団が設立以来、続けている「福祉活動支援助成」。昨年度も、京都と滋賀で地域福祉の向上のために活動する51団体から申請があった。選考はこれまで事業団事務局で行っていたが、より公平を期すため、初めて5人の外部委員に委嘱し決定、35団体に計約523万円を助成した。うち2団体を紹介し、支え合う社会の広がりを報告する。


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買い物の足として喜ばれているマイクロバス。発足4年目に入った(京都市東山区今熊野)
 「乗り合わせた知らない人との会話も弾み、私のような年寄りには本当に楽しい1日でした」。こんな礼状がしばしば届くのは、京都市東山区の今熊野地域で買い物バスを走らせる団体「今熊野生活支援あしの会」(福田光代会長)。この地域は坂が多い上、高齢化が急速に進んでいる。会員の定道蓉子さん(81)や和田世津子さん(62)は「大きな買い物かごを提げて坂を登るのは大変。何回も休みながら帰宅するほど」と話す。

 そこで、2011年10月からスタートしたのが買い物バスの地区内巡回。地元で路線バスを走らすバス会社の協力も得られ、月1回午前中、指定の停留所を回るコースを設定した。買い物を終えたお年寄りは巡回するバスに乗って帰宅するシステムだ。その後、ビール会社の協力も得られ、昨年春からは月2回に増便した。

 問題は運営費の不足。行政の補助はなく、法律上、運賃はもらえない。利用者の志納金や会員の会費などが主な財源だ。福田さん(77)や会員の深尾逸子さん(68)は「事業団からの助成は本当にありがたい。お年寄りの買い物の足をなんとか守っていきたい」と話している。

 明治37(1904)年の設立で、昨年110周年を祝った大津市平津の社会福祉法人・湘南学園。広々とした敷地には法人が運営する児童養護施設、保育所などとともに障害者が働く施設もある。障害福祉サービス事業所「れもん会社」と名付けられ、26年前に設立された。現在43人の障害者が木工、クッキーづくり、織・刺しゅうの各班と、洗車や農園作業などの外周り班に分かれて作業し、一般社会での就労を目指している。

 班ごとに作業場は分かれており、遊具などを制作する木工班の建物は高い天井、床はコンクリートだ。冬や夏は冷暖房設備がなければ仕事ができないほど。これまでは20年以上使ってきたエアコンが1台あったが、作業場は広く、十分に冷暖房が効かなかった。そこで旧式を廃棄し、今回の助成で業務用エアコンを2台購入した。施設では働いている人を「社員」と呼び、湘南学園事務局長の杉立隆一さん(54)は「社員さんがいい環境で仕事をするためにも、どうしても必要なエアコン。今年の夏は快適な中でスムーズに作業ができそう」と喜んでいる。

 2014年度の他の助成団体は次の通り。

【運営助成】
▽京都YWCA親子ライブラリー (京都市上京区)
▽アレルギーネットワーク京都ぴいちゃんねっと(中京区)
▽京都ファミリーハウス(同)
▽助けあいグループりぼん(東山区)
▽ジョイント西京視覚障害者ボランティア(西京区)
▽しょうがいしゃ馬っ子の会(同)
▽ボランティアわの会(長岡京市)
▽朗読ライブボランティア『拍子木の会』(同)
▽つくし会(向日市)
▽パーキンソン病支援センター(八幡市)
▽SKY Rainbow(城陽市)
▽びわ湖国際医療フォーラム(甲賀市)

【設備助成】
▽白百合会(中京区)
▽山ノ内社会福祉協議会(右京区)
▽西院第二社会福祉協議会(同)
▽京都ボランティア学習実践研究会(東山区)
▽京都市洛南障害者授産所(南区)
▽城山共同作業所(南丹市)
▽子育てを楽しむ会(宇治市)
▽支援機器普及促進協会(長岡京市)
▽障害福祉センターあらぐさ(同)
▽ボランティアグループひまわり(向日市)
▽要約筆記サークル「くさぶえ」 (京都府京丹波町)

【東日本大震災被災者支援】
▽ドーン避難者ピアサポートの会京都(中京区)▽関西浜通り交流会(同)
▽京都府避難者支援プラットフォーム(下京区)
▽内部被曝(ばく)から子どもを守る会・関西(左京区)
▽東日本大震災復興支援 京都生協職員ボランティア(南区)
▽さぽーと紡(つむぎ)=伏見区
▽うつくしま☆ふくしまin京都―避難者と支援者のネットワーク(同)
▽エンゼルネット(同)
▽チャリティーコンサート響きプロジェクト(宇治市)
▽東日本大震災滋賀県内避難者の会(大津市)