ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

京都新聞「愛の奨学金」

学ぶ意欲、諦めさせぬ
123人に善意の応援

厳しい経済状況、今年度増額

 
 京都新聞社会福祉事業団の「京都新聞 愛の奨学金」の贈呈式が7月18日、京都市中京区の京都新聞社で行われ、出席した学生・生徒らに奨学金が贈呈された。


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愛の奨学金の贈呈式で奨学生一人一人に奨学金を手渡す直野常務理事(京都市中京区・京都新聞社)
 「愛の奨学金」は京都新聞の「誕生日おめでとう」欄への寄付金や奨学金事業協賛寄付金などで運営されている。返済不要で一般の部と交通遺児の部があり、学費援助を必要とする向学心のある高校生や大学生、各種専修学校生らが対象。今回から贈呈金額が贈額された。消費税増額や物価の上昇などを考慮したもので、高校生は従来の年額7万2千円から9万円、大学生は14万4千円から18万円にアップした。

 ある国立大学の調査では、学部学生の14%が学業継続に困難を感じているという結果が出ている。またブラックバイトが横行する背景には学生の生活困窮があるといわれる。選考委員会は7月上旬に行われ、渡邉保博・佛教大社会福祉学部長、植村友美・京都ベンチャークラブ会長、小山元也・京都青年会議所理事長、社会福祉士の幸重忠孝氏の4人があたり応募者334人から123人を選んだ。

 贈呈式では直野信之常務理事が「奨学金贈呈は今回で51回目を迎えました。多くの方々の善意をもとに運営されています。そうした方々の意思を大切にして学費の一助としていただければ幸いです」とあいさつし、出席した高校生や大学生らに一人ずつ奨学金を手渡した。

 京都学園大2回生の男子学生は「受給できるかどうか少し不安もありましたが、受給できて本当にうれしいです。父が亡くなって経済的に厳しくなっており、この奨学金は学費などに充てていきたいと考えています。感謝しています」と喜びを語った。また京都府立大に通う女子学生は「今、4回生ですが、友人に教えられて申請しました。受かるとは思ってなかったので支給されると聞いてすごくありがたいと思いました。感激でいっぱいです。奨学金は返さなくてもいいので、それもうれしいです。全額学費に充てたいと思ってます」と話した。

返済不要、意義ある

選考委員長を務めた渡邉保博・佛教大社会福祉学部長の話

 親の収入状況の悪化によって学費や生活費の工面に苦労する学生は増えていると思います。今回応募された方の申請理由を読んでいると、親が失職したり低収入であったりして非常に厳しい経済状況であることを浮き彫りにしました。こうした中で京都新聞社会福祉事業団の返済不要の奨学金は意義あるものです。貸与型の奨学金制度では大学卒業後、返済は大変な額となります。国や自治体なども給付型の奨学金をもっと充実させるべきではないかと思います。

京都新聞 愛の奨学金
奨学金は当初、高校生が年額2万4千円、大学生が3万6千円だったが、物価上昇とともに上げて行き、今年から高校生9万円、大学生18万円となった。1年分を一括贈呈され返済は不要。今年度の奨学金総額は約2000万円だった。昨年まであった特別枠の「東日本大震災被災者の部」は「一般の部」と統合した。これまでの受給者の総数は7千人を超えている。