京都・丹後の海で12、13の両日、1泊2日の日程で「みんなで海釣り−障害のある人の体験講座」が開かれ、多くのボランティアらも含めて約190人が参加した。18回目の今年は主催者が無料招待したこともあって、障害のある人や家族らの半数は初めての参加者だった。また、開催日もこれまでの8月から9月に変更、ひと回り大きく育った魚が次々と釣れ、青い海に歓声が響いた。
京都新聞社会福祉事業団,神戸新聞厚生事業団,自立生活問題研究所が主催し,多くの団体が後援や協力,協賛をしている。
2日目の海釣りは宮津市の府立海洋高の桟橋で行われた。各種団体が用意したリ−ルや竿(さお)を手に突堤から糸をたらした。車いすの中学生の息子と初めて参加した立石光広さん(49)=京都市右京区=は「子どもに釣りを経験させてやりたくて参加した。釣りのベテランの人から丁寧に指導してもらいありがたい」と喜んでいた。体の不自由な父親と昨年に続いて参加した高橋靖子さん(43)=左京区=は「昨年は父の体が思うように動かず、釣りも思うようにできなかった。この日のために1年間、プールなどでリハビリを積んできた」といい、「父が魚を釣り上げて、喜んでくれた。父の笑顔が一番の釣果」と父娘で笑顔だった。足に障害がある畑田弘呂志さん(55)=左京区=は「息子が小学生のころから一緒に参加し、今年で9回目。子どもは過去に3回優勝している。きちんと世話していただけるし、何よりいろんな魚が釣れるのが楽しい」といい、アジやアコウ、ガシラなどを釣り上げていた。
会場の桟橋はいつもは実習船などが係留し、釣り禁止のエリアだが、海洋高がこのイベントのために開放し、生徒や職員がボランティアとして協力している。同校の井上俊明事務長は「学校としてボランティアを推進しており、このイベントもその一環」と話し、「生徒からは参加してよかったとの声を聞く。奉仕を通して成長してくれれば」と期待する。2年生の下野亜実さんは「昨年も参加し、障害のある人と触れ合い、いろんなことを学べた。2度目なので、次に何をするのかが分かる」といい、針に餌を付けるなど手伝っていた。
釣り指導者も20人以上が協力した。初回から参加の相知(おうち)康三さん(68)=西京区=は「何回参加しても、いつも新鮮。みんなで協力し合うところがよい」と魅力を話し、釣り団体役員の井上憲治さん(65)=伏見区=は「各スタッフがしっかり指導してくれ助かる。釣れた人の笑顔を見るのが楽しみ」と話していた。
海釣りに先立って前日には府立青少年海洋センターで釣り講座や福祉クイズ大会などが行われ、夕食や入浴時には学生をはじめボランティアが障害者を介添えする姿がみられた。
主な協力団体などは次の通り。