ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

チャリティー美術作品展

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猪熊佳子氏「煌めく森へ」


魂を込めた作品
「世の中の役に」

 

2015年10月29日〜11月2日 
京都高島屋グランドホール




出展される作家のお名前はこちらからご覧いただけます。

美術家や著名人らから寄贈された作品の入札を通して、福祉の充実を図る京都新聞チャリティー美術作品展(京都新聞社会福祉事業団、京都新聞主催)が10月29日(木)から11月2日(月)の5日間、京都市下京区の京都高島屋グランドホール(7階)で開かれる。今年で33回目。約1400人の協力者から絵画、彫刻、書、陶器など多彩な美術品が寄せられた。作品を寄せた数人に寄贈への思いを語ってもらった。

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「ガッチャマン」(九里一平氏)
 「科学忍者隊ガッチャマン」や「みなしごハッチ」など3作品を寄贈した漫画家の九里一平さん=東京都。「5年以上、協力しているが、寄贈作品だからといって手は抜けず、魂を入れて時間をかけて描いている」といい、必ず着色した作品を提供している。「以前、サイン会でサラサラと描いた作品がネットのオークションに出ていて、情けない思いをした。常に満足のいく作品を描きたい」といい、落札した方は「そばにおいて鑑賞してほしい」と希望する。九里さんは何度かチャリティー会場も訪れている。

 10年以上協力を続ける日本画家の猪熊佳子さん=京都市山科区=も「寄贈作品には絵描きとして今、挑戦している部分を盛り込むようにしている」といい、意欲的な作品を出品する。また落札された人には礼状を送り、「入札を通して交流が生まれ、人としての広がりもできる」という。「私は3人の子どもを育て、認知症の母親も介護している。チャリティーの売上金はそういう福祉にも積極的に生かしてほしい」と要望する。

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「座布団仏」三遊亭円楽氏
 「笑点」でおなじみの6代目三遊亭円楽さん=東京都=は「このチャリティーへの寄贈はちょっとしたご縁から始まった」といい、今年は2枚の色紙を提供した。うち1枚は数体のカラフルな地蔵に「無財七施 眼施 心施」と記した。「京都は心のふるさと。京都に行けば神社、仏閣を訪ね、住職らにお話を伺うようにしている。私なりに話の内容を咀嚼(そしゃく)して文言にしている」と明かす。「空いた時間を見つけて描いているが、多くの人に喜んでもらえれば本当にうれしい」と話す。
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「流水ニ春草茶碗」永樂善五郎氏
 陶芸家で千家十職の17代目、永樂善五郎さん=京都市東山区。「先代の親父が亡くなった1998年から跡を継いで寄贈している。仕事を通して世の中のお役に立てれば何よりです。以前は花器なども提供していたが、私の場合、メーンは茶碗ですので、茶碗の方が喜ばれるのかと思い、最近は茶碗を寄贈することにしている」と話し、入札する人の立場にたって作品を制作している。

 作品の提供者はみなさん、「福祉に役立てれば」との思いとともに、作家として心血を注いだ自信作を会場に飾っている。