ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

「お互いさま」の輪
住民主体で広げる
手助けし、教えられ 元気もらう

東近江市の「世話焼きさん」

 

 隣近所で助け合いながら暮らす地域社会が薄れつつあるなか、東近江市では市社会福祉協議会が中心となって「世話焼きさん」(生活支援サポーター)を組織化し、住民主体の「お互いさま」の町づくりの輪を広げている。現代はプライバシーへの配慮などもあって、「手伝いましょうか」と言い出しにくい風潮があるが、世話焼きさん同士のつながりが活動を楽しく安定したものにしている。

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活動報告などを出し合う絆の定例懇談会(東近江市永源寺高野町・ゆうあいの家)
 紅葉で有名な名刹(めいさつ)がある同市永源寺地区。高齢化率は約30%だが、集落によっては70%を超える。ここに世話焼きさんのグループ「絆」が誕生したのは2012年1月。市社協が実施した生活支援サポーター養成講座を受講した住民たちが中心となり、1年近くかけて討議を重ね「活動の手引き」を作成、会員34人で結成にこぎつけた。手引きには、依頼者の気持ちに寄り添うなど活動の心構えをはじめ、秘密厳守、2人以上でサポートするなど活動のルールのほか、依頼者に余分な心配をさせないため1時間に100円の協力金、活動の調整役3人の配置などきめ細かく活動指針をまとめた。

 「買い物に連れて行ってほしいと言われ、1時間だけ同行した」「懸命に世話しているが、親子の折り合いが悪く、私たちだけでは解決できない。行政に関わってほしい」。サポーターたちは月1回集まり、活動報告とともに悩みや相談などを出し合う懇談会を開いている。仕事をしながら活動している女性(54)は「活動を通してもやもやした気分になっても、懇談会で話し、みんなで考えてもらうことで、すっきりする」と例会の必要性を話す。

 手助けすることで、サポーターにも喜びがある。最年配の平岩義蔵さん(79)は「感謝されるだけでなく、人生経験の豊富な人からはいろんなことを教えてもらえる。体が続く限り、お手伝いしていく」といい、西村和子さん(78)は「声を掛けるだけで喜んでもらい、こちらも元気をいただいている」と恐縮する。代表の川嶋冨夫さん(68)は「福祉の各制度やサービスではできない隙間を埋めるのが絆の活動。話し相手になったり、漬物の石を運んだり、切れた電球を換えたり、身近な支援を通して喜ばれている。これからもサポーター同士が協力しながら続けていきたい」と話す。

 東近江市は1市6町が合併し、06年に誕生した。市社協が生活支援サポーターの育成に乗り出したのは09年度から。旧八日市市8地区と旧6町の全14地区を対象に、施設の代表らによる4回シリーズの養成講座を開いた。これまでに9地区で順次開催した。受講生たちは「一人では活動がやりにくい。グループで」と、組織づくりに取り組み、最初に結成されたのが「絆」だった。絆の活動を参考にこれまでに御園、能登川、中野各地区でもグループが誕生し、他の地区でも結成に向けた動きがある。

 組織化された世話焼きさんの活動は全国的にも注目され、福祉関係者ら年間10件以上の視察があるという。市社協の眞弓洋一・地域福祉課長は「サポーターの養成講座にしてもグループづくりにしても、地区の住民が主体となり進めている。お互いさまが世話焼きの本質。自分たちで住みよい町をつくる気持ちが活動の源泉になっている」と住民主役を強調している。