ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

京都新聞福祉活動支援助成

京滋拠点に視野は全国へ 支える輪に広がり
困窮者に自立応援・舞台を工夫し進化

 

 京都と滋賀の地域福祉向上のために活動する団体を対象にした「京都新聞?福祉活動支援助成」の昨年度の贈呈式がこのほど行われ、運営部門14団体、設備部門10団体の計24団体に総額450万円が贈られた。この中には、東日本大震災の被災者で京滋に避難している人々を支える5団体も含まれている。昨年度は49団体から助成申請があり、外部委員5人が活動実績などを慎重に審査し決定した。助成を受けたうち2団体を紹介し、地域福祉の広がりを報告する。

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プロジェクターを使って会話内容を映し出しながら公演するあまのはしだて座(京都府与謝野町)
 京阪・膳所本町(大津市)近くの住宅街に事務所を構える「大津夜回りの会」 (小坂時子理事長)。2001年からホームレスなど生活困窮者の支援活動を始め、07年にはNPO法人(特定非営利活動団体)に。事務所内に「ひまわりサロン」を常設し、昨年度千人以上が利用した。相談も「今日、泊まるところがない」「派遣切りにあった」など困窮者本人のほか、行政機関などを通じた情報提供が昨年度は計1274件も寄せられた。また、13年度からは国や大津市の助成事業を生かし、民間のアパート計4室と契約、ホームレス状態の人に提供する緊急一時宿泊所も開設した。常時、ほぼ満室の状況といい、昨年度は女性2人を含む29人が利用している。

 スタッフの一人(72)は「生活困窮者は心身に悩みを抱えておられ、自立するための力を付けてもらうことが大切」とみる。そこで、昨年度から始めたのが自立力アップ事業。1講時2時間で年間171講時開催し、パソコン、救急救命講習、笑いヨガなどを専門家が指導し、初年度は延べ747人が学んでいる。今回の福祉活動支援助成はこの事業に生かし、「今年はさらに内容を充実させて、自立への手助けをしたい」と張り切っている。

「子どもからお年寄り、障害のある人も、ない人も みんなに笑顔と楽しい!を届けたい」をモットーに活動する京都府与謝野町の大道芸の団体「あまのはしだて座」。公演中、話す内容を液晶プロジェクターを使ってスクリーンに映し出している。「聴覚の不自由な人だけでなく、お年寄りら多くの観客に喜ばれている。1時間余りは付けっ放し」と座長の佐藤洋さん(54)。9年前に福祉活動支援助成で購入したプロジェクターが老朽化し、今回、新たに購入した。

 あまのはしだて座は2004年12月に設立され、2年後にNPO法人に。障害者施設での勤務経験のある佐藤さんや会員の千原敦子さんが中心になって、皿回し、南京玉すだれ、傘回し、手品などの大道芸を年間40公演程度開催している。主に京都府北部の敬老会、春・秋まつり、保育園のイベントなどに招かれるが、京都市内や兵庫県で公演することもある。今、取り組んでいるのが視覚障害者のための公演。「これまでは見て分かる人の前で演じていたが、見えない人に大道芸を分かりやすく公演し、楽しんでもらうにはどうすればよいか工夫している」と佐藤さん。活動は進化している。

 2015年度のその他助成団体は次の通り。

【運営部門】
京都ファミリーハウス(京都市中京区)、関西浜通り交流会(同)、こども芸術教室Kidz Lab(下京区)、京都府避難者支援プラットフォーム(同)、京都生協職員ボランティア(南区)、助けあいグループりぼん(東山区)、今熊野生活支援あしの会(同)、ジョイント西京視覚障害者ボランティア(西京区)、アウンジャDV被害者支援部(宇治市)、ドーン避難者ピアサポートの会京都(同)、ステップアップ(城陽市)、京都YMCA長岡こおろぎ(長岡京市)、パーキンソン病支援センター(八幡市)

【設備部門】
うつくしま☆ふくしまin京都―避難者と支援者のネットワーク(伏見区)、ワークショップほのぼの屋(舞鶴市)、子育てを楽しむ会(宇治市)、どうほうのいえ(同)、ふくろう工房(京田辺市)、バスハウス(長岡京市)、朗読ボランティア「拍子木の会」(同)、ウッディ伊香立(大津市)、美輪湖マノーナファーム(同)