ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる
写真
今井政之氏 「備前象嵌撫子瓶子」

チャリティー美術作品展

自分の得意分野で
人の役に立てる幸せ

 
 芸術家や著名人らからの寄贈作品の入札を通して、福祉の充実を図る「第34回京都新聞チャリティー美術作品展」(京都新聞社会福祉事業団、京都新聞主催)が20日(木)から24日(月)の5日間、京都市下京区の京都高島屋7階グランドホールで開かれる。今年は約1350人の寄贈者から絵画や陶器をはじめ、木工、書、彫刻、写真など約1500点の多彩な美術品が寄せられ、芸術の秋を彩る。作品寄贈に協力いただいた数人に福祉への思いなどを聞いた。


写真
村山明氏 「欅拭漆髪飾」
 チャリティー美術作品展は故上村松篁氏や梅原猛氏らの呼びかけで1983年から始まった。第1回展から作品を寄贈している陶芸家の今井政之さん(86)=京都市山科区=は「高齢化とともに、街中でも車いすで移動する人を多く見かける。私の作品を求めていただくことで、困っている人に少しでも喜んでいただければうれしい」といい、「事業団からは後日、入札に関する情報も知らせてもらい、作品づくりの励みにもなる」と話す。14年前からは長男で陶芸家の今井眞正さん(55)も作品を寄贈しており、親子で協力している。

写真
永田萠氏 「笑い猫」
 10年以上、作品を寄贈している京都市在住のイラストレーター・絵本作家の永田萠さんは「人の役に立てることが大人の証と思ってきたので、自分の得意な分野でそれができるのは幸せなこと」と話し、作品については「私の絵を見ながらひと時でも嫌なことを忘れ、ほっとしていただきたい。今回も優しい色調の、微笑(ほほえ)みたくなる作品を選んだ。毎回、どなたかに落札していただき、お役に立てたという思いがある」と喜ぶ。

 各地で絵画展を開くなど画家としても活動している歌手の八代亜紀さんも長年、協力している一人。「チャリティーについては協力できる限り支援している。今年は故郷の熊本で地震による大きな災害が発生したが、私のできる範囲のことは続けている。助け合いの輪がもっと社会に広がれば」と期待する。

 木工の人間国宝、村山明さん(72)=宇治市=は今回、髪飾りを寄贈した。「木を直接みてもらい、身に付けることで、木そのものの素晴らしさを知ってほしい」と芸術家としての思いを語り、福祉に関しては「小さな子どもたちが健やかに成長できる環境づくりにも、チャリティーを生かしてほしい」と要望している。