●ともに生きる
京都新聞福祉活動支援助成
地域を支える活動 市民の善意生かす
リフトで安全に入浴/大型レンジ活躍
地域福祉を支えよう―と京都と滋賀で活動する団体を対象にした「京都新聞福祉活動支援助成」。2016年度は32団体から助成申請があり、審査の結果、運営部門14団体、施設部門9団体の計23団体に総額491万4000円が贈られた。選考に当たっては、市民の善意にこたえるため、外部委員5人が活動実績などをもとに慎重に審査した。助成を受けたうち、2団体の活動内容と地域に果たしている役割を紹介する。
滋賀県の東近江、野洲両市と愛荘町の2市1町で主に身障者の福祉施設を運営する社会福祉法人・美輪湖(びわこ)の家。その中心施設がきらり庵で、東近江市ののどかな田園地帯にある。訪れた障害者が絵や音楽などで機能回復や生活リズムの習得に励む。施設の一室に家庭用よりやや大きめのユニットバスが設けられている。
今回の助成を受けて、約180万円で設置したのは入浴用リフト。利用者はいすに座ったままで、職員が手動で操作することで浴槽に入ることができる。可能な範囲で自分で体を洗うことができ、浴槽が小さくても利用できるメリットもある。これまでは利用者に帯を巻いてもらい、職員が抱きかかえるように浴槽に入れていた。施設長の仲本耕児さん(59)は「以前は抱える時に足元が滑らないか、神経を使った。これで利用者に安心してもらえるのがうれしい」と喜ぶ。現在、風呂の利用者は二人だが、居宅介護の身障者らからは入浴に関する相談は多いといい、「地域福祉のために積極的にリフト風呂を利用していきたい」と話している。
地域から孤立した人をなくそう、と8年前から始まった京都市伏見区桃山町の「あなたの居場所スカサ」。国道24沿いのマンション1階が会場で、ウイークデーの昼食時には年配者から子連れの親子ら20人ほどが集まる。ボランティアのお母さんらが毎日、健康に気を配った料理を調理し、ランチ代は500円。隣接のデイサービス晴れる屋を利用する人たちや一部配食サービス分を入れると、一日60食以上になることもある。
ここで威力を発揮しているのが助成金で購入した40万円のレンジ。3カ所にコンロがあり、オーブンや魚焼きコンロも容量が大きい。代表の君村千代子さん(76)は「以前はコンロが2カ所で、火力も弱く、使い勝手が悪かった。本当に助かる」と感謝する。スペイン語で「あなたの家」という意味のスカサ。ランチのほか、手話や手芸、習字などの催しも開いており、「自分の家のように気軽に立ち寄ってもらい、みんなで支え合う場にしたい」と願っている。
2016年度のその他助成団体は次の通り。
【運 営】
京都精神障害者フットサルクラブ(宇治市) パーキンソン病支援センター(八幡市) そよかぜ子育てサポート ナラダ・ママ(京田辺市) 京都府網膜色素変性症協会(京都市中京区) ボランティア団体ハピネス(南区) 京都生協職員ボランティア(同) 内部被曝から子どもを守る会・関西(左京区) 助けあいグループりぼん(東山区) 今熊野生活支援あしの会(同) 天才アートKYOTO東山・新道アトリエ(同) 京都YMCA長岡こおろぎ(西京区) ジョイント西京視覚障害者ボランティア(同) うつくしま☆ふくしま in 京都―避難者と支援者のネットワーク(伏見区) 街かどケア滋賀ネット(湖南市)
【設 備】
宇治作業所のびのび(宇治市) 西小倉地区社会福祉協議会(同) チェリー工房(城陽市) 京都犯罪被害者支援センター(上京区) 更生保護施設 盟親(中京区) 就労継続支援B型施設いきいき・いわくら(左京区) 大津夜まわりの会(大津市)
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