ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

京都新聞チャリティー美術作品展

支え合いの思い 作品に込めて
全国1300人寄贈 25日から京都島屋


 「ともに生きる」をテーマにした「京都新聞チャリティー美術作品展』(京都新聞社会福祉事業団、京都新聞主催)が25日から30日まで、京都市下京区の京都島屋グランドホール(7階)で開かれる。1983年から始まった恒例の美術展で、35回目の今年は全国の約1300人の著名な画家や文化人らから約1500点が寄せられ、入場者は芸術の秋を堪能するだけでなく、入札を通して社会福祉にも協力できる。5人の寄贈者に出品作品や福祉への思いを聞いた。

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本松進一氏「達磨寺の芙蓉(上京区法輪寺)」
 寄贈者は画家、陶芸家、工芸家、宗教家など幅広く、漫画家もみられる。福岡市在住の堀田かつひこさん(65)は「オバタリアン」で知られる漫画家。「数年前に亡くなった父も、高齢の母も認知症で、自宅で介護している。福祉はだれにでも身近な存在だとつくづく感じる」と話し、「テーマを工夫しながら毎年、チャリティー用として作品を仕上げている」という。洋画家の酒井英利さん(70)=京都市左京区=も家族に障害者がいる。「長年、障害者と一緒に暮らしていると、障害は個性、だと思うようになった。いろんな人がともに普通に生活できる世の中になってほしい」と望む。今年は高島市マキノ町在原(ありはら)の里山の風景を出品。「現地でじっくりと風景と対話し、作品に仕上げた。現地の息遣いを感じてほしい」と話す。

 「チャリティー展には人と人との温かい触れ合いが感じられ毎年、協力している」と話すのは、福島県会津若松市に住む日本画家の加藤美惠子さん(69)。今年はシルクロードの馬と小袿(こうちぎ)を着た女性の2点を出した。「福祉充実への思いを込めている。作品を通して、心を静めていただければ」と期待する。先月、地元、八幡市の松華堂美術館で傘寿記念展を開いた洋画家の本松進一さん(80)。大手新聞社を定年後、絵業に打ち込んでから25年以上、出品している。「毎年、どなたかにお求めいただき、感謝している。好きなことを通して福祉のお役に立っているのがうれしい」と話す。今回は京都市上京区のだるま寺(法輪寺)の満開の芙蓉を描き、今年も会場を訪れる予定だ。

 滋賀県信楽町の神山清子さんは81歳の今も陶芸に打ち込む。福岡市の出身で戦時中に信楽に来て、陶芸の魅力に取りつかれた。「出品は穴窯で焼いた使い勝手のよい作品を選んでいる。手ごろな値段で自信あるものを出したいし、神経を使う」という。

会期中は午前10時から午後8時まで
(入場は閉場30分前、最終日は午後4時閉場)。入場無料。


出展作品の一部

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酒井英利氏「盛秋」 加藤美惠子氏「絲綢路 陸駅の馬」
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神山清子氏「信楽自然釉手付花入」 堀田かつひこ氏「ティファニーでオバタリアン」