ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

みんなで海釣り〜障害のある人の体験講座

餌つけや魚の処理 海洋高生がサポート
気軽にレクリエーション


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高校生の手ほどきで釣りを楽しむ奥田琉那さん(左)
 宮津市の海で9月8、9日、「みんなで海釣り〜障害のある人の体験講座」(京都新聞社会福祉事業団、神戸新聞厚生事業団主催)が開かれた。障害のある人やその家族など約70人と、ボランティアスタッフ約70人、府立海洋高生、教職員約100人が参加。大小さまざまな魚を釣り上げ、交流を楽しんだ。

 講座は1998年に始まり、21回目。障害のある人が介助者や家族とともに誰もが気軽に参加できるレクリエーションとして開催し、京都・滋賀をはじめ神戸や広島などから参加者が集い、寝食をともにして釣りを楽しんでいる。

 初日は同市の府立青少年海洋センターマリーンピアで開講式の後、投げ釣りを楽しみ、釣り講座に臨んだ。参加者は魚の釣り方や仕掛けの仕組み、危険な魚の見分け方、救命器具のつけ方などを学んだ。

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コアジを釣り上げ、「かわいい」と上機嫌の西村宰さん(左から2番目)
 2日目はあいにくの雨となったが、早朝から海洋高へ会場を移し、釣り糸を垂らして実技に挑戦。海洋高生やボランティア、指導員らが準備を整えると、参加者らはかっぱをまとい、救命器具を身につけて桟橋で魚を狙った。

 天候が不順で雨が続いていたが、釣り場にはたくさんの魚が集まった。参加者らは、アジやアコウ、ガシラ、カワハギなどの魚を釣り上げた。

 今年初めて参加した京都市山科区の西村宰さん(17)は、前日の講座から胸を躍らせ、当日も元気いっぱい。同行したヘルパーの鮫島祐子さん(61)と一緒にアジやガシラなどを釣り上げ、「かわいい」「すごい」と大喜びの様子。

 娘の琉那さん(16)と参加した上京区の奥田留美子さん(46)の釣りざおにも次々魚がかかり、「こんなに釣れると癖になりそう」と大興奮。「高校生がサポートしてくれて、至れり尽くせり。自分たちだけだと餌の準備や釣った魚の処理が難しいので、本当に心強い」と喜んでいた。

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桟橋には参加者の釣りざおが並び、あちこちから歓声が上がった
 会場では、海洋高の生徒約80人が忙しくお手伝い。3年生の小藪清貴さん(18)は「釣りが好きなので昨年から参加している。普段あまり障害者の人と接する機会がなく、一緒に釣るのは楽しい」と笑顔を見せていた。

 釣りのインストラクターを取りまとめる京都磯釣連合会会長の前田剛さん(58)は「たくさんの人の協力があってはじめて実現できるイベント。昨年よりもよく釣れ、参加者の方たちがとてもにこやかで、楽しんでくれるとこちらも勇気をもらえる」と感慨深げに語っていた。

 主な協力団体は次の通り。

【後援】宮津市、宮津市社会福祉協議会
【協力】日本釣振興会近畿地区支部・京都府支部、全日本釣り団体協議会、京都釣具商組合、京都府磯釣連合会、MFG、GFG、京都府漁業協同組合、京都久野病院
【協賛】アサヒフーズ、魚矢、がまかつ、東レ・モノフィラメント、ハヤブサ、マルキュー、マルゴ

(フリーライター・小坂綾子)