京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●ともに生きる
京都新聞社会福祉事業団「工賃増に向けての取り組み助成」(2019/05/13)
京都新聞社会福祉事業団は、障害のある人が働く作業所や授産施設などを対象にした「工賃増に向けての取り組み助成」を、2018年度も行った。
障害のある人たちの収入増に取り組む施設に助成するもので、09年度から開始。18年度は京都と滋賀の20施設から申請があり、10施設(府内5、京都市3、滋賀県2)に113万8000円を助成した。対象は、新商品の開発や品質向上のための改良費、新技術や技術を学ぶための研修費など。支援を受けた団体はどう活用しているのか、2施設の取り組みを紹介する。 織り機で新技術習得 デザイン性 より高く
同センターは1988年、いづみ共同作業所として、スタッフ2人、利用者7人でスタートした。当初から手織りに取り組み、利用者48人になった現在は、草木染やパン作りにも活動を広げている。 手織り班が力を入れているのは、奈良県のギャラリーでの月1回程度の販売会。コンセプトを決め、コースターやカバンなどの製品を出品し、好評を得ている。実働の織り機は16台あり、織り班の利用者がそれぞれ慣れたマイ織り機≠使って織り、織り歴30年というベテラン利用者もあって、見事な手さばきだ。新しい挑戦ができるようになり、売れる商品の開発など、収入増に向けて皆で知恵を絞っている。 高性能レンジで焼き菓子おいしく
新しい電子レンジは、焼き加減を外から確認できる高性能型。利用者が頃合いを判断してトレーの向きを変えられるため、季節によって差が出る微妙な焼き具合を調整しておいしく仕上げることができるようになった。 菓子や小物作りの工房にカフェを併設し、ユニバーサル社会の構築を目指す「陽だまり」。現在利用者は11人で、シフォンケーキとクッキーは看板商品だ。クッキーは、竹炭やショウガ、バニラ、イチゴなど種類を増やし、店頭やイベントなどで販売。シフォンケーキはカフェで提供し、フワフワの食感が人気だ。 昨年は近くの会館などへの「出前カフェ」の取り組みも始め、カフェでは新しく手打ちそばの提供もスタート。特徴あるサービスや商品開発に力を入れる。「お菓子はおいしいと好評なので、売り方を考えて収入を増やしたい」と施設長の虫R貴史さん(46)。売り上げとやりがいの両立を目指し、工夫を重ねている。 (フリーライター・小坂綾子) |