ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

障害者スポーツ(2019/07/29)

それぞれのペースで みんなが楽しめる
パラリンピック控え参加者増


 東京パラリンピックの開催まであと1年と迫り、障害者スポーツに注目が集まっている。京都市障害者スポーツセンター(左京区)では、トップアスリートが練習する一方で、卓球バレーや卓球など、障害や年齢の垣根を越えて気軽に参加できるスポーツも盛んだ。同センターを訪れ、現状を取材した。


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卓球バレーを楽しむ人たち(京都市左京区・市障害者スポーツセンター)

 同センターの一室に設置された卓球台から、にぎやかな歓声がわき上がる。コロコロと音が鳴る小さなボールがラケットに弾かれて転がり、台の上を右へ左へめまぐるしく移動する。6人1チームで台を囲みボールを打ち合う「卓球バレー」の練習だ。障害のある人たちが、見事なラケットさばきでラリーを続け、スマッシュを決めていく。

 「一緒にどうですか」と誘われ、大きなかまぼこ板のようなラケットを握る。「ちょっと手加減しましょう」と言われたが、転がってきたボールはあっという間にラケットの間をすり抜け、床に落ちた。気合いを入れ直し、何とかラリーに参加する。「案外難しいでしょ? 脳トレになって良いのよ」とはにかむ女性はとても楽しそうだ。

 卓球バレーは、京都で発展してきたスポーツだ。幅広い障害のある人が楽しめることもあり、支援学校や作業所などでも盛んに取り組まれている。

 卓球室をのぞくと、こちらも熱気に包まれていた。足に障害のある人や脳性まひの人、ボランティアの人らがラリーを続けている。「初心者から上手な人まで交代で楽しんでおられ、気軽さが人気です」と職員の太田裕子さん(50)。

 体育館とプールなどを備える同センターは、年間のべ17万人ほどの利用があり、近年は増加傾向だ。リオパラリンピックに出場した競泳の一ノ瀬メイ選手らを育み、シッティングバレーボール、車いすフェンシングなどでパラリンピックを目指すアスリートらも利用するが、同時に、気軽に体力作りをしたい人もそれぞれのペースで体を動かしに訪れる。シッティングバレーボールやフライングディスクなどの体験会、水泳やアクアフィットネスなどプールでのレッスンもあり、さまざまなスポーツに挑戦できる。

 近年特に注目が集まっているのが、パラリンピックの正式競技でもあるボッチャ。脳性まひや筋ジストロフィーなど重度の障害のある人のために考案されたヨーロッパ生まれのスポーツで、白いボールに、赤と青のボールをいかに近づけるかを競う。同センターでは、4チームで対戦するオリジナルルールの「スクエアボッチャ」も考案し、普及を図っている。

 パラリンピックを控え、門をたたく人が増えているという同センター。「障害者スポーツは、障害のある人もない人も一緒に楽しめるものがほとんど。この機会に、やったことのないスポーツに挑戦してほしいし、ボランティア登録もぜひ」と太田さん。ボッチャやトランポリン、フライングディスクなどが楽しめる「ふれあいスポーツDAY」は隔月開催で、次回は9月1日。問い合わせは同センター075(702)3370。

 (フリーライター・小坂綾子)