講座は障害のある人が家族や介助者らとともに気軽に参加できるレクリエーションとして毎年開いており、今回で22回目。京都や滋賀をはじめ、兵庫や広島各府県から参加者が集い、寝食をともにして宮津の海を満喫している。
初日は、同市の府立青少年海洋センターマリーンピアで開講式が開かれ、その後、釣り講座で魚の釣り方や危険な魚の見分け方、救命用具のつけ方などを学び、翌日の本番に備えた。
2日目は、早朝から海洋高へ移動し、参加者は、海洋高生やボランティアらが準備を整えた同校桟橋で海へ釣り糸を垂らした。真夏のような日差しが照りつける中、休憩をとりながら、アコウ、ガシラ、カワハギなどの魚を釣り上げた。
草津市の徳増かれんさん(15)と美紀子さん(44)は、親子で初めて参加した。かれんさんは、大きく環境が変わることが苦手だが、高校生から救命ベストのつけ方などを優しく教わり、釣り場ではリラックス。次々にガシラを釣り上げ、「もう1回やる」と笑顔を見せていた。
パーキンソン病を患い、家の中にこもりがちになっていたという京都市西京区の小島秋子さん(75)は、夫の通治さん(78)を誘って初参加。「50年ほど前の若い頃に釣りをして、その時にキスを釣った感触が忘れられなくて。もう一度味わいたい」と当時を思い出しながら釣りざおを握り、ガシラがかかると満面の笑みを浮かべた。
会場では、有志の海洋高生らがお手伝い。釣りが好きで海に関心を持ち、同校に進学したという1年の今村泉仁さん(16)は、「釣りへの思いは人それぞれで、障害のある人にもない人にも楽しさは平等。釣りを通して楽しい気持ちを共有できることがうれしい」と、釣り糸を垂らす位置などを熱心にアドバイスしていた。
京都府磯釣連合会会長の前田剛さん(58)は「参加者に安心して釣りを楽しんでもらえる機会で、スタッフも毎年楽しみにしている。暑い日になったけれど、前半を中心にたくさん魚がかかり、アコウやベラ、チヌなども釣れてよかった」と話していた。
(フリーライター・小坂綾子)