ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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京都新聞チャリティー美術作品展・障害者アート展(2019/09/30)

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アトリエで制作する根ヶ山恵司さん(上)、楠川敦士さん(中)、大場多知子さん(下)。3人の作品は京都新聞チャリティー美術作品展で展示する。

感性込め緻密に自由に
多彩な独創的アート
16日から京都高島屋


 毎年恒例の京都新聞チャリティー美術作品展(京都新聞社会福祉事業団、京都新聞主催)が10月16日から21日まで、京都市下京区の高島屋グランドホールで開かれる。今回は、障害のある人の芸術活動やアート作品を紹介する「福祉ページ『わたしの作品』原画展」が併催される。独創的な作品をじかに鑑賞してもらうのがねらいだ。原画展に多くの作品を提供するNPO法人障碍者芸術推進研究機構(東山区)のアトリエを訪ね、作家たちの制作風景をのぞいた。


 「わたしの作品」コーナーは、障害のある人たちの作品を紹介する機会を作ろうと、2008年4月から本紙福祉のページ内に設けている。投稿作品や、障害のある人の芸術活動に取り組む団体から提供を受けた作品、障害者アート展に展示された作品などを紹介。これまでに絵画や陶芸、織物など約350点を掲載してきた。原画展では作品の一部を展示する。

 同法人は、障害のある人たちに制作活動の場を提供するプロジェクト「天才アートKYOTO」に取り組んでおり、所属作家は知的障害や精神障害などの44人。年齢層は10代から50代まで幅広く、京都市東山区にアトリエを開設している。

 水性サインペンで生きものなどのモチーフを描く根ヶ山恵司さん(23)は、小さなネズミをたくさん集めて大きな動物に仕上げる「メガマウス」シリーズを制作中。「描きたいように描き、形をつくっていく」。感性のまま表現することでユニークな作品に仕上がっていく。「わたしの作品」に何度も掲載され家族で喜んでいるという。

 日常生活の中で目にした動植物などを緻密に描写する大場多知子さんは、作品制作を機にひきこもり状態から社会に出るようになった。「絵を描いているうちに本来の自分の気持ちがわかってきて、人生を楽しんでいいと思えた」といい、週2回アトリエに通う。

 楠川敦士さん(25)は、絵の中に文字をたくさん書き込む作風。自分の中のイメージを自由に表現し、最新作は、たくさんの国旗の中を飛行機が飛ぶ壮大な作品だ。

 重光豊副理事長(71)は「作家たちは、世の中のニーズと離れたところで自分なりのルールや感覚で描いている。独自のルールを読み解く面白さを味わってもらえれば」と話す。計算し尽くされていない独創的なアートの世界に触れられる貴重な機会だ。

 (フリーライター・小坂綾子)

第37回京都新聞チャリティー美術作品展

京都、滋賀をはじめ全国の著名な美術家(洋画、日本?画、陶芸、工芸など)、宗教家、文化人ら約1000人から福祉のためにと寄贈された約1200点を展示する。作品は入札で求めることができ、寄せられた善意は京都新聞社会福祉事業団の福祉事業に活用する。

特別展示する「わたしの作品」の原画は入札対象外。10月16日から21日までの午前10時から午後8時まで(入場は閉場30分前まで、最終日は午後4時閉場)、京都高島屋7階グランドホールで。入場無料。