ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

京都新聞子育て応援事業

新米ママの不安解消に 人と話して触れ合って

不登校の子らの挑戦後押し(2019/11/25)



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交流イベントで赤ちゃんとのふれあいを楽しむ母親たち(木津川市城山台)
 京都新聞社会福祉事業団は本年度、地域社会の子育て活動や事業を支援するため、京都、滋賀両府県の12事業と93団体に助成金を贈った。助成を受けた親子イベントは募集枠を上回る参加者でにぎわい、不登校などの子どもらが参加するカフェではドリップコーヒーの提供に挑戦するなど、それぞれ地道な活動を積み重ねている。

 「京都新聞子育て応援」として2005年度から実施している。子育てや支援事業を対象に上限15万円を贈る「子育て事業助成」と、子育て中の親らの団体や支援団体などに一律2万円を助成する「子育て仲間を応援」の2部門を設けている。

 19年度は事業助成に21件の申請があり、不登校やひきこもりの子どもの理解を深める講演会や親子のコンサート、東日本大震災の被災児童を招くキャンプなど京都府6件と滋賀県6件に計88万円を助成した。「子育て仲間」には98団体から申請があり、京都府65団体、滋賀県28団体に計186万円を贈った。助成金は両部門とも7月上旬に支給した。

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地域に開かれた場でコーヒー豆を焙煎する子どもたち(大津市中央・大津百町館1丁目)
 事業助成を受けた木津川市のNPO法人子育てサポートフレーフレークラブは、教員や保育士などの経験者も含め17人が、乳児期を中心に子育て支援に取り組んでいる。子育て広場の運営のほか、親子イベントも開催している。

 助成金を使って開いた11月の0歳児親子向けのイベント「子育てママのエンジョイライフ」には、定員の3倍にのぼる30組が参加。ベビーマッサージや手遊び、ママトークの時間があり、参加者は、赤ちゃんとのスキンシップや友達づくりを楽しんだ。理事長の福田恵子さん(59)は「ネットで情報を得るだけでなく、人と話して子育ての不安やイライラが解消できる場が必要。孤立を防ぎ、子育てが楽しいと思えるような支援になれば」と思いを込める。

 発達障害や不登校の子たちの支援に取り組む「異才ネットワーク」(大津市)は、同市中央1丁目の大津百町館で月4回、カフェとフリースクールを開催。小中高生5人が利用し、パソコンの技術を習得したり、コーヒー豆を焙煎(焙煎)してドリップコーヒーを提供したり、さまざまな挑戦をしている。助成金で備品などを購入し、スタッフが、子どもが力を発揮できるよう支えている。

 代表の谷川知さん(52)は「不登校でも、社会とつながりを持っていることは大事。地域に開かれた場で活動し、頑張っている子どもたちの存在を広く知ってもらいたい」と話し、今後一般向けのドリップ講座なども開く。

(フリーライター・小坂綾子)