京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●広がる 地域の輪
出張コーヒーサービスで交流
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そろいのエプロン姿で丁寧にコーヒーを入れる「おやじ喫茶」メンバー(近江八幡市仲屋町、あきんど道デイサービスセンター) |
クラブの活動の中心は、出張してコーヒーを入れる「おやじ喫茶」と市内の名所旧跡の環境美化だ。メンバーは発足時より10人増え34人。各人の活動内容は固定化せず、喫茶で腕を振るう人、修理や清掃で体を動かす人、クラブのホームページの世話人など、自然に定着するのに任せている。「急がない、競わない、無理しない」を合言葉に、できること、したいことをする。
「おやじ喫茶」の中心担当者は約10人。福祉施設に出向くほか、社協関係のイベントなどでも腕前を披露している。対外的な窓口を務める大石修さん(70)は「開催日に人手がないということはありませんね。皆さん協力的」と言う。必要な時にはクラブ員の誰かが手伝う。
NPO法人「しみんふくし滋賀」が運営する「あきんど道デイサービスセンター」と小規模多機能型居宅介護施設「材久さん」の2カ所へは、5年ほど前から定期的に出向くようになった。施設を利用するお年寄りや職員のためにコーヒーをたてる。2班に分かれたメンバーが、挽(ひ)きたての豆を準備し専門店のような一杯を仕上げる。
3月の開催日は2カ所で計40杯ほどを入れた。エプロン姿の男性たちがかいがいしく働く姿に、施設のお茶の時間はにわかに活気づく。デイサービスセンターの職員は「利用者さんは息子のような世代にコーヒーを入れてもらい言葉を交わすのが楽しみのよう。普段はインスタントコーヒーなので私たちもラッキーです」と笑顔を見せた。
メンバーの太田護さん(67)は独自に教室に通い専門書でコーヒーを研究しており、皆から「プロ並み」と一目置かれる人。お年寄り向きには豆の分量や湯の温度を調整して飲み心地に気を配る。「コーヒーは人とかかわるツールです」と言い「おかわりの希望があるとうれしいですね」とほほえむ。最年長の渡辺素明さん(77)は「サラリーマン時代は地元との接触はほとんどなかった。地域にお返しができるのはありがたいです」と活発に活動する。この日はマジックが得意なクラブ員が飛び入りで加わり、一層にぎわった。
「生き生きクラブ」会長の庄田幹夫さん(69)は「自分たちが楽しませてもらってるのですが、多少なりとも福祉にかかわれるのはよかった。活動場所を与えていただき感謝しています」と言う。
生き生きクラブ「おやじ喫茶」
近江八幡市出町491=大石方=TEL 0748(32)7768