ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
広がる 地域の輪

サンタが今冬も鴨川を走る
みんなでつくる息の長い大会へ(2012/11/20)

サンタクロースになろう会


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手も口も動かし準備を進める「サンタクロースになろう会」メンバー。忙しさを乗り切る秘訣は「楽しい」だ(ひと・まち交流館京都)

 幼児からお年寄りまで、100人以上がサンタクロース姿で京都・鴨川河川敷を走るサンタマラソン。今年も12月23日に開かれる。2002年に始まり11回目。市民団体「サンタクロースになろう会」が運営する。代表はスポーツが大好きな京都市北区の会社員若山正治さん(38)。誰もが仲良く楽しめるマラソンをと仲間たちと企画した。

 ルールは、サンタもしくはクリスマスにちなんだ扮装をし、100分間に丸太町橋〜三条大橋間(約1キロ)を何往復でも自由に走る。当初は50人規模だったが、年々増え最多時は約150人に。アットホーム感を大切にしようと近年は選考・抽選で100人をめどに抑えている。運営にボランティア参加する人も多く、これまで延べ600人以上がかかわった。例年8月のチラシ作りから終了後の会計報告まで、半年余り活動が続く。メンバーは10代〜70代。今年は約10人が核になる。

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 10月下旬の日曜日。京都市下京区の「ひと・まち交流館京都」でスタッフミーティングがあった。

 この日の準備作業は参加記念品と選手の周回チェックカード作り。今回の記念品はイラスト付きクリアファイルだ。会報などのイラストを担当する会社員の秀俊さん(38)の切り絵のサンタが原画。オリジナル絵本も作っている人で、表情が愛らしい。カード用に厚紙を裁断してきた技術職の喜和さん(36)は、作業手順を手際よく説明する。一緒にパソコンを持ち込み、申し込み状況の把握や調整をするのは友人の秀樹さん(37)。2人は初回から加わっている。

 初めて大会を見た時、「なんてアホなことを、と思った」と言う自営業の良紀さん(52)は、今では趣味のバンド活動の腕を生かして大会を盛り上げる音楽隊の担当だ。市民マラソン歴四半世紀の公務員、近さん(53)は、「スタッフの仕事が楽しい」と走らずに参加する。選手からメンバーに転身した会社員のきみ子さん(56)は「走るのはしんどくなったけれどかかわっていたくて。若い人と一緒に何かできる機会は貴重」と笑顔をみせる。

 作業と同時に大会しおりの体裁、ゼッケンのデザインなど相談事は山ほど。マナー違反のアマチュア写真家対策もある。積極的な提案や意見が途切れなく出され、「進化する会やねー」の声。

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 誰もが知っているサンタ姿は、人が出会い、つながる場をつくる。見ていた人が選手に、選手がスタッフに、と広がってきた。子どもがやっと走れる年齢になったと家族5人での参加もあれば、80代も、恋人同士や赤ん坊を抱いたお父さんも走る。初対面でハイタッチを交わす人がいて、参加した子どもたちは笑顔の思い出を絵にして送ってくる。

 コース途中にゲームを仕掛け、商店や個人の寄付でユーモアのある賞も準備する温かな手作り大会。「特定の人だけでなく、参加者のみんなでつくる息の長い大会に」とスタッフたちは願う。

 今年も関西を中心に多数の申し込みが届き、締め切った。次の集まりから一般ボランティアも加わり、大忙しの日々に突入する。


サンタクロースになろう会
京都市下京区河原町通五条下ル「ひと・まち交流館京都」2Fメールボックス28
携帯電話 080(3808)8069