ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
広がる 地域の輪

経験、能力生かし地域貢献
幅広い分野のボランティアつなぐ(2013/10/08)

湖国ひとまちネット


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「フェスタ」当日。手の空いた会員が「湖国ひとまちネット」案内コーナーで一息つく(長浜市民交流センター)

 長浜市を拠点にしたボランティアをつなぐ「湖国ひとまちネット」が発足したのは2010年12月。地域リーダーを養成する「おうみ未来塾」(淡海文化振興財団主催)で学んだ藤井伊佐美さん(71)が、「ボランティアの中間支援組織をつくろう」と仲間とともに呼びかけた。

 会員は個人で活動している人もいれば、百人規模の団体を母体にする人もいる。趣味を生かした各種サークルや剪定(せんてい)ボランティアグループ、地域に伝わる人形浄瑠璃「冨田人形」の保存・継承に努める団体にも会員がいる。文化、環境、福祉など幅広いジャンルで活動する47会員が、情報交換や学び合いを深めている。

 月1回会員が集う定例会をベースに、市民に呼びかけて「市民寺子屋」を年6回開く。「家庭介護」「環境美化」「傾聴」など毎回テーマを変え、その分野の会員らが現状や課題を語る。暮らしよい町づくりのために何ができるか。市民も会員も一緒になって考える機会だ。

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 毎年夏は「市民寺子屋」の規模を拡大して「フェスタ」を開催。ゲスト講師の講演会と展示や体験学習を繰り広げている。今年も8月の最終日曜に長浜市地福寺町の長浜市民交流センターで開いた。

 認知症看護認定看護師を講師に招き、認知症について理解を深める講演会のほか、健康体操の体験などがプログラム。受付は美化や手品グループの男性らが、司会は大正琴演奏・指導団体の女性代表が、展示はアート教室主宰や地域医療を担う医師がと、手分けして担当する。雨の中を集まった約百五十人の市民は、アットホーム感にあふれた会場で一日を過ごした。

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 地産地消への関心から「そば打ち」を続ける木田敦さん(70)は、この日は所属するグループの仲間と本格的な手打ちそばを提供した。ネットの副代表でもある木田さんは「つながることで個々の活動が広がる可能性がある」という。会員になったおかげで知らない分野の人の話が聞ける。良い勉強になります」と話すのは健康体操普及団体が母体の長谷川美也子さん(74)。環境美化に取り組む近藤松二さん(68)は「ボランティアの異業種交流の場と言えます。さまざまな形の市民活動を知ることで、ボランティアの意義を考えるきっかけにもなる」とみている。長年、長浜の観光スポット「豊公園」周辺の清掃を続ける近藤さんは「私たちの姿を見てお礼の言葉を掛けてくれる人や手伝ってくれる人がいる。ボランティア活動に信頼感や共感を寄せる人は多いです」と、ボランティア活動が、市民の町づくり参加を後押ししている実感を口にする。

 スタート時に比べ会員は倍近くなった。アニマルセラピーなど、新しいジャンルの人も多い。代表を務める藤井さんは「会員が増えるなかで時代の変化や、変化に伴う課題、解決への道が浮かんできます。すべてを行政任せにはせず、個々の経験や能力を生かして、自分たちの手で地域を良くしていけるといい」と、市民が主体になった町づくりに思いをはせている。


湖国ひとまちネット事務局
長浜市口分田町449の8、藤井方、TEL 0749(63)9822