ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
広がる 地域の輪

異世代間の交流の場に
おもちゃ通して自然に仲良く(2014/03/24)

かみふうせん


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気に入ったおもちゃを手に遊びまわる子どもたち。お母さん同士の交流も深まる(滋賀県日野町・町保健センター)

 滋賀県湖東地方にそびえる霊山、綿向山。その麓にある日野町保健センターの一室は幼い子どもたちの元気な声であふれている。子ども用のトランポリンで跳ね回る男の子、友だちと滑り台に興じる女の子もいる。ビンゴゲーム、木製の馬や汽車、楽器、アンパンマンをデザインしたおもちゃも。

 ここは、地元の女性たち7人でつくるボランティアサークル「かみふうせん」が運営するおもちゃ広場だ。1985年から続けており、今年で29年目に入る。この1月から4代目の代表になった南川まり子さん(66)は「この間に、協力してくれるボランティアのメンバーは随分と入れ替わりましたが、いつの時代も、子どもたちの元気な姿を見たい、との思いがここまで続いてきた理由でしょう」と振り返る。

 おもちゃ広場は毎月第2・3金曜の午前中に開いている。対象は町内に住む3歳までの子どもたちで、わが子や孫と一緒にお母さんやおばあちゃんも訪れる。引退した姉の後を引き継いで3年前からボランティアをしている藤崎美代子さん(61)は「少しでも、社会のお役に立てれば、と思って続けています。若いお母さんとの触れ合いもできて楽しいですよ」と話す。異世代間の交流の場にもなっている。

 会場は、よく暖房が効いた広さ100平方bほどのカーペット敷きの洋室。毎回、10組以上の親子らが訪れ、子どもたちはおもちゃを手に思い思いに遊びながら、友だちと自然に仲良くなっていく。毎月1回は来るという近くの野川円(つぶら)さん(30)は「5年前から利用していますが、子どもがたくさんの友だちと遊べるのがいいですね。今は小学生になったお姉ちゃんも、ここで遊んだおかげで周りの子と溶け込むのが早いようです」と次女に目をやりながら話す。孫の男児と訪れていた端野とみ子さん(66)は「自宅にはない大きな遊具もありますから、いいですよ。おもちゃは借りられますから、よくお借りします」と喜んでいる。

 おもちゃは壊れることがよくあるが、修理できるものはボランティアたちで直し、必要に応じて新しい製品を購入する。また、おもちゃを手作りする町内のボランティアサークル「ままのちくちく」の協力もあり、随時ユニークなおもちゃが入ってくる。ボランティアたちは創設以来のそろいのエプロンを身に着け、「けがのないように、自由に遊ばせる」をモットーに優しい目を子どもたちに注いでいる。

 毎年12月の第2金曜は大クリスマス会を開いている。昨年も50組以上の親子が訪れ、会場は子どもたちや親同士の触れ合いで盛り上がっていた。

 三重県境と接し、田畑が広がる日野町も他市町と同様に子どもの出生数は減少し、新生児は一昨年が190人、昨年は159人だった。かつてのように幼い子ども同士の触れ合いが少なくなり、親同士の交流も減ってきているという。

 前代表の辻元すぎのさん(77)は「子どもたちの明るい声は私たちに元気をくれますし、未来に勇気を与えてくれる。目立たない活動ですが、これからも地道に子どもたちに遊びの場を提供していきたい」と語っている。


かみふうせん
滋賀県日野町河原1丁目1 町社会福祉協議会内
TEL0748(52)1219