京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●広がる 地域の輪
シニア対象にパソコン教室
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パソコンの操作を熱心に学ぶ年配者ら(京都市伏見区) |
「字の大きさを変更したいのですが」「ページ番号はどうすればつけられますか」―いろいろな質問がパソコン初心者の受講者から出て来る。インストラクターが横に座って親切に教えている。グループ制ではなくほぼマンツーマン形式なのがうれしい。
京都市伏見区の大手筋商店街から少し北側にある毛利橋通りに面したところにNPO法人「花パソ」のオフィスがある。民家の1階を改装して開設した。
シニア層を主な対象にしている。インストラクターは女性だけ、シニアに特化して工夫された教材は大きめの字にするなど細かい点にも配慮がされている。アットホームな雰囲気も「落ち着いて勉強できる」と好評だ。
「花パソ」の創設者は現在理事長の馬場次代さん(64)。専業主婦だったが、子どもに手がかからなくなった頃にパソコン教室に通って操作を学んだ。その後、さまざまなパソコン関係の仕事を行うことでスキル(技術)を向上させ、シニア対象のパソコン教室の運営を行う「花パソ」を立ち上げた。活動を広げようとNPO法人となり、シニア向けの操作習得サポートを支援している。
「幸いなことに運営は順調です。みなさんのおかげだと思います。今、インストラクターは13人いますが、ここの講座生から教える側になった人も少なくありません。中高年の女性もスキルを持てば仕事ができるということのひとつです。登録会員の生徒数は500人近くに上ります」と語る。
現在、この伏見のオフィスのほか中京区の「NTTの三条ショールーム」、下京区の「ひと・まち交流館 京都」で講座や相談会を開いている。
最初、教える対象はパソコンが主体だったが、今はスマートフォンやタブレット操作の講座も増えている。「シニア層にとってこれらの機器をマスターすることによって世界が広がりますし、脳の活性化にもつながり、若い人との情報格差を縮めることも可能です」と馬場さんは強調する。
数年前に開催したパソコン駆使の「認知症予防講座」は反響を呼んだ。一期生はそのままサロン講座に移行してパソコンを学んでいる。一方でiPadなどのタブレットによる演奏にも力を入れている。今のタブレットはピアノ、バイオリン、トランペットなど多くの楽器の音を簡単な操作で再現できる。昨年、馬場さんは全国の仲間に呼びかけて第1回「元気なシニアを応援しよう タブレットで合奏発表会&交流会」を開催した。交流会には東京や千葉、福岡などから多くのグループが参加して大盛況だった。
「今年は二回目を2月下旬に京都で開催しますが、楽しみですね。もっともっと規模を大きくしたいものです」と意気込む。昨秋には「誰でも弾ける はじめてのスマホ・タブレットで合奏」という本も出版する力の入れようだ。
「最新のIT機器による音楽を通して、孤立しがちなシニアの仲間づくり、居場所づくり、生きがいづくりにも大きな力を発揮します」と、その効用を語る。
介護施設や老人ホ?ムなどの訪問も考えている。「演奏の楽しさを施設の方々とも共有したいですね。それをきっかけに施設でのお年寄りもIT機器の楽しい使い方を知ってもらえれば」と夢を紡ぐ。