京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●広がる 地域の輪
知的障害者に寄り添い、支え
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「まほら社」で作業を行う知的障害社ら(城陽市) |
今、城陽市内で知的障害者らを対象にグループホームなどを積極的に展開して注目されるグループがある。「朔日(ついたち)の会」だ。近鉄京都線の寺田駅を降りて徒歩数分のところに同会本部事務所と放課後等デイサービスの「きりん」がある。2年前の5月にオープンした。「きりん」は小学1年生から高校3年生までの発達・知的障害者が通う。利用定員は10人だが、ケアする職員は7人と手厚い。
同会の活動はこれで止まらない。18歳以上の知的障害者のグループホーム作りも同時に目指しており、一つ目のグループホームのスタートは昨年の4月となった。この時期には同じ城陽に生活介護の「まほら社」と放課後等デイの「ぷちきりん」も開設した。
JR城陽駅の近くにある「まほら社」では同会のグループホームを利用する人らが三つの部屋に分かれて厚い紙を折り曲げて完成させる作業に没頭していた。職員の語りかけや指導にそって仕事は順調で和気あいあいと仕事に向き合っている。
同会の基本理念にはこう記されている。「『障害』と呼ばれる『違い』や、経験・環境によるひずみなどのために生きにくさを抱える人たちには、個別の応援が必要だ。本会は専門性の高い対人援助を追求・実践するとともに一人一人に必要な支援を地域の中でトータルに構築するための機能集団として進化し続ける」などとしている。
同会の土橋成人理事長は長い間福祉の仕事に携わってきたが、先の理念に基づく福祉事業を運営したいと思い続けて会を結成し、仲間とともに福祉事業の運営に乗り出した経過がある。
今年4月にはグループホームなどが入居する総合援助センターを同じく城陽市内に開設した。1階は保護者らを対象とした相談支援事業所や準備中の就労支援事業のスペース、居宅介護事業のスペースを確保している。2階は二つのグループホームがあって知的障害者らが利用している。計14室の個室がある。
この総合援助センターなどは福祉事業に理解のある地域の人が、同会の要望に基づき建物を建て同会に賃貸する形式を取っているため、かなりスピーディに完成できるメリットがある。土橋理事長は「各種の制度にのって建設となると、大変な時間がかかります。われわれが採用した方式だと、地元の方の理解を得られれば、早期に建設でき、ニーズに対応できるのです」と語る。こうした方式を取る所が今、徐々に増えているようだ。
土橋理事長は「今、こうした方式で知的障害者を対象としたグループホーム事業ができないかとの話を近隣自治体からいただいています。機敏に対応していきたいと考えています」と事業拡大の展望を語る。また「人材育成も非常に大事ですね。これをきっちりしてこそ事業の継続も可能ですし、利用者のみなさんや家族の要望に応えられると思います」と運営方針を示す。
村上貴美理事も「利用者の成長によって必要な課題が変わっていくので、われわれがしっかりと専門性を発揮して対応していかねばなりません」と利用者に寄り添う対応を強調している。