ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
広がる 地域の輪

滋賀県立障害者福祉センター

利用者の笑顔に寄り添う
スポーツや文化教養、盛りだくさん(2015/11/24)


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アリーナでアーチェリーを楽しむ人たち(県立障害者福祉センター)

 滋賀県立障害者福祉センターは、県が大津市から草津市にかけて開発した「びわこ文化公園都市」の福祉ゾーンに位置する。開設は25年前だが、今も変わらず緑豊かな環境の中にある。施設は、バスケットボールやバレーボールなどができるアリーナ(体育館)、25メートル6コースのプール、卓球などができる小アリーナ、ランニングマシンなどが備わるトレーニング室などがあり、いずれの施設も障害者らでにぎわう。

 一見してスポーツセンターのようでもあるが、一方で100人収容の会議室や10畳の和室が2室あり、文化教養活動も行っている。昨年度1年間の利用者は7万7千5百人にのぼり過去最多となった。開設以来年々利用者を伸ばしている。年齢層は幼児から高齢者までと幅広い。

 同センターのスポーツ事業などを支えるスタッフは17人。障害者スポーツ指導員の資格を持った人が11人、このうち上級資格者は5人もいるほか、ボランティアの協力もある。同センターの指導事業は多岐にわたり、プールだけでもアクアビクス教室、知的障害者のための水中運動教室、重度障害者のための水中らくらくアドバイスなどを行っている。ここのプールからは2012年のロンドンパラリンピックの100メートル平泳ぎで銀メダルを取った木村敬一選手が出ている。

 アリーナでは初級卓球教室、初心者アーチェリー入門教室、グラウンドゴルフ定例会など盛りだくさんだ。一方、文化教養事業ではケーキづくり、茶道、書道、フラワーアレンジメントなどの教室が開催され人気を呼んでいる。また同センターの最大の開催行事「夏まつり」は各種障害者団体や周辺関係施設などによる実行委員会を構成して盛大に行われており、アリーナでの特設ステージでの催しや模擬店、子どものための遊び場設置などが人気を呼び、毎年1500人前後の人たちが楽しむ。

 同センターが数多く行う事業の中で全国から注目されているのが、難病のパーキンソン病の人たちを対象にした「楽しく笑顔でリハビリ教室」だ。5年前から取り組んでおり、県立リハビリテーションセンターの協力を得ている。内容はリハビリテーションだけでなくスポーツ吹き矢などのレクリエーションや医療講演、音楽療法なども交えて行うのが特色。「本人の表情が明るくなり活動的になった」と家族らにも好評だ。この事業を担当する岩田早苗主査は「日本神経学会学術大会 メディカル・スタッフ・ポスターセッション」で活動を報告、何人もの人から声をかけられ手応えを感じた。こうした事業を継続的に行っているのは全国でも同センターだけという背景がある。

 同センターの運営目標は「利用者一人ひとりに寄り添い、ともに成長するセンター」で、近くにある県立養護学校の生徒らも卒業時に利用のお礼に訪れるなど親しまれている。小野ゆかり業務課長は「このセンターの認知度をもっともっと高めてさらに利用者を増やしたいですね」と話している。

滋賀県立障害者福祉センター
1990年8月開設。
体育館、プールのほか、会議室などを備え、障害者を中心に多数の利用者でにぎわう。草津市笠山8丁目。