ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
広がる 地域の輪

NPO法人「子育てを楽しむ会」

育児の知恵、みんなで共有
母親が集う場や機会提供(2016/04/11)


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「つどいの広場りぼん」で語らう母親たち(宇治市広野町)

 妊娠中の女性や母親らがフロアに座ってくつろいでいる。その周りを幼い子どもが駆け回る。談笑の輪が出来て育児のことを語り合う。スタッフを交えて誰もが楽しそうだ。宇治市から子育て支援拠点事業を受託した「子育てを楽しむ会」が運営する「つどいの広場りぼん」のいつもの光景。同広場は近鉄大久保駅から歩いて数分のところのスーパー2階にあって交通も至便だ。

 3月下旬の同広場に参加した宇治市内の主婦勝岡真美子さん(28)は3歳と生後1カ月半の二人の子どもの母親である。長女の時からここを利用している。「上の子の時、ここに来て先輩のお母さんからいろいろ聞けてほんとうに良かったです。ここで知り合ったお母さんと友達にもなっています。この広場のおかげで楽しく子育てができています」と明るく話す。

 宇治市の子育て情報誌を見てこの日初めて参加した主婦の齋藤陽子さん(42)はつい最近、宇治市に引っ越してきた。「2歳の子を連れて来ました。楽しく過ごせて、子どもも気に入っています」とにこやかに笑う。スタッフの一人は「この委託事業は週に5日間、ここでやっています。臨床心理士さんや助産師さんの話を聞いたり、親子で遊んだりします。年間延べ7000人以上が利用されます」と説明する。

 「子育てを楽しむ会」は1999年春に発足した。子育て中の母親ら4人が集まって「この街で子育てしてよかったと思えるような環境づくりを一歩ずつ進めていこう」という思いがあった。迫(さこ)きよみさん(54)が代表となり、集会所などで手作りの抱っこひもを一緒に作ることから始めた。「子育てに不安を持つお母さんは増えています。核家族化の進展だけでなくマンション住まいなどによる近隣関係の希薄化などが進行して家庭や地域に伝わってきた子育ての知恵が伝わらなくなってきたと感じています。集う場があれば、母親はお互いにリラックスして育児の不安や心配ごとを話し合うことできるのです」と話す。

 その後、「子育てを楽しむ会」は積極的に子育てを行う母親たちの集う場づくりを展開していった。子育てサークルを紹介するイベント開催や子育てサークル情報誌の編集・発行、地元社会福祉協議会との共催で子育てをサポートする「赤ちゃん広場」の開催、双子や三つ子の赤ちゃん、アレルギーの赤ちゃんを対象とした「おしゃべりキャッチボール」の開催などのほか、自主事業としてベビーヨガセラピーの開催、だっこ・おんぶの体験サロンなども行っている。中学生と赤ちゃんのふれあい交流にも初回からボランティアとして参加してきた。

 迫さんは「運営費が少なくて大変ですが、頑張っています。この会の事業の利用者がスタッフになってもらってずいぶん熱心にやってくれます。子育ては一人でしたらしんどいけれど、みんなとつながってやって行けば楽しくなるのです。子育て中のお母さんにやさしく接してあげてほしいですね。これからも会の存在や事業などの発信力を高めて行きたい」と話している。

NPO法人「子育てを楽しむ会」
1999年4月に「子育てを楽しむ会」を発足。2008年4月にNPO法人化する。自主事業のほか、宇治市からの委託事業、社会福祉協議会との共催事業など、子育てサポートを多彩に展開している。事務局は宇治市広野町西裏100。