ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
広がる 地域の輪

NPO法人パーキンソン病支援センター

話すだけでも元気になれる
同じ時間、場所での会に安心感(2016/05/23)


写真
パーキンソン病について、会話を楽しみながら情報交換する参加者ら(京都市下京区・ひと・まち交流館京都)

 安心して日常生活の悩みや相談を打ち明けられるパーキンソン病支援センター(事務局・八幡市)のサロン交流会。参加者の一人が「寝返りがうまく打てない」と訴えると、ほかの参加者から「ベットの硬さがあっていないのでは」「ふとんがいい」などと自分の体験談を次々に披露していく。病気の症状から趣味まで話題は多岐にわたり、参加者の会話は弾んでいく。

 パーキンソン病は、進行性の難病で、ふるえ、動作緩慢、体のこわばり、転げやすいなどの症状がある。50代以上で発症することが多い。原因は特別にないが、病気のメカニズムは分かっているという。

 パーキンソン病支援センターは、理事長の八幡市男山泉、寺松由美子さん(61)が有志8人で2005年11月に立ち上げた。寺松さんの母親がパーキンソン病になったことから、患者や家族らでつくる全国パーキンソン病友の会京都府支部役員を務めていた。当時は、パーキンソン病について、あまり知られてなく、家族として何をすればいいのか悩んだ。より多くの人に病気への理解を深めてもらおうと、広く情報発信がしやすい家族主体の会として発足させた。設立翌年の3月にNPO法人化した。

 センターの会員は、患者、家族、支援者など約160人。活動は相談、サロン交流会、講演会、セミナー、定期コンサート(音楽療法)を柱にしている。年300件ほどある相談・問い合わせは医者に聞けない病状や治療についてが多いという。ケアマネジャーを対象にした勉強会なども開いている。寺松さんは「患者は症状の日内変化が大きく、外出しづらい。サロン交流会では同じ場所、同じ時間に誰でもが気軽に参加できるように努めています」と運営に気配りしている。ただ「センター運営の資金面が大変です」と苦心している。

 月1回、京都市下京区のひと・まち交流館京都で開かれているサロン交流会は、5月で120回を数えた。この日は京都市内を中心に府南部や滋賀県などから40〜70代の26人が参加した。理事で、京都市西京区大原野、ガーデニングプランナーの金清雅美さん(56)が進行役を務めた。「患者や家族にとって心地よい居場所になってもらえれば」との思いがある。参加者から「薬と運動が大切だと医者に言われた」と病気について、また「(援助や配慮が必要であることを周囲に知らせる)ヘルプマークを知ってますか」と情報提供するなど、参加者の思い思いの話題に、ほかの参加者それぞれが受け答えする。会話を楽しみながら情報交換していく。大阪府枚方市から参加した70代の夫婦は「ここでの情報は日常生活で役立つことが多い」、京都市山科区の60代の夫婦は「同じ病気の人たちと話をすることで、元気をもらえた」と会話に加わっていた。金清さんは、参加者から帰り際に「ありがとう」の一言いってもらえることが励みになるという。

 センターの新しい取り組みとして、製薬会社の助成金を受け、2年前から患者の食事環境改善に予防トレーニングなどを提案している。さらに今秋からタブレット端末を患者に渡し、オリジナルソフトを使った試行を計画している。

NPO法人パーキンソン病支援センター
2005年11月設立。06年3月NPO法人化。寺松由美子理事長。会員約160人。パーキンソン病の患者、家族への情報提供や交流促進。事務局は寺松さんの自宅(八幡市男山泉12の7)。