ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
広がる 地域の輪

おむつなし育児研究所京都サロン

自然な排せつで気持ちよく
親と子の絆も深まる(2016/10/31)


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「おむつなしサロン」で、育児について気軽に語り合う参加者(京都市中京区)

 赤ちゃんが気持ちよく排せつでき、親子のコミュニケーションも深まるようにと、おむつに頼りすぎない育児を提唱する「おむつなし育児研究所京都サロン」(事務局・京都市上京区)。茶話会である「おむつなしサロン」には、「周りに聞く人がいない」など、育児で悩む母親たちが日常生活での疑問点やちょっとした耳寄り情報などを語り合い、赤ちゃんの健やかな成長に気を配っている。

 京都サロンは、京都市上京区南小大門町の西山由紀さん(46)が主宰。2005年に転居してきた京都で、子育てについて相談できる人が周りにいなかった。おむつなし育児のモニターになったことがきっかけで、08年に京都市内の仲間5人とスタートさせた。1歳半までの赤ちゃんが対象となるため、運営する主要メンバーは入れ替わっていく。

 育児についての気軽な会話が楽しめる「おむつなしサロン」を月1回開催している。最も力を入れている実践への短期集中講座(全3回)は、年2、3回開いている。このほか、講演会やアドバイザー養成講座、助産師とともに「排泄(はいせつ)と食育講座」なども行っている。これまでに4000人ほどが参加したという。

 9月下旬に京都市中京区で開かれた「おむつなしサロン」には、京都市内や大阪府から3組の親子と出産を間近に控えた女性が参加した。直径20センチほどの小さなつぼ状のおまるも紹介され、赤ちゃんの排せつや授乳など、育児全般について日頃から気になっていることを本音で語り合った。

 参加者から「おむつ替えをいやがる」「おむつなし育児をやっている人が周りにいない」など、それぞれの思いが伝えられた。生後1カ月半の男児と参加した京都市東山区の山口真奈美さん(36)は「最初の子はおむつをするとおしっこをしてくれず、生後3カ月ぐらいからおむつに頼らなくなった。二人目は新生児から始めようと思った」とサロンには情報交換に来た。また、11月に出産予定の大阪府茨木市の大波奈月さん(32)は「初めての育児で知らないことばかり。育児にもいろんなやり方があるのですね」と質問していた。

 西山さんは「『おむつなし』ということで、誤解されがちですが、おむつを全く外すのではなく、おむつに頼りすぎないということです」といい、無理にトイレトレーニングをしている訳でもないと説明し、細やかなアドバイスをしていた。この育児法には、紙おむつを減らせるなど、環境に優しい側面もあるという。「おむつを着けずに自然な形で排せつすることは、赤ちゃんにとって気持ちいいはず。母親も赤ちゃんの欲求を読み取ろうとすることで、親子のコミュニケーションも深まる」と話し、もっと多くの人に知ってほしいと活動を続けている。

おむつなし育児研究所京都サロン
2008年発足。京都を拠点に子育て支援を行っている。主宰者の西山由紀さんは15年に第3回京の公共人材大賞最優秀賞を、京都サロンは同年、第12回京都環境賞奨励賞をそれぞれ受賞。事務局は京都市上京区。