ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
広がる 地域の輪

jafore 日本語を母語としない家族のための子育て支援チーム

集えば言葉超えてつながれる
最新情報、英語でウェブ発信(2017/02/27)


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地元や外国人家族らが交流する「多言語子育てひろば」(京都市上京区・「ほっこりはあと出町」)

 子育て中の外国人、日本人家族が交流する「多言語子育てひろば」が毎月1回、京都市上京区のつどいの広場「ほっこりはあと出町」で開かれている。「子どもの遊び場所を知りたい」「保育園に入れたいが、どうすればいいの」などママさんトークが広がる。

 言葉が通じず、日本での子育てに不便を感じている外国人家族が地域に溶け込めるようにと、「jafore(ジャフォール) 日本語を母語としない家族のための子育て支援チーム」が主催している。代表の京都市左京区の西恵味さん(33)は中学、高校時代にエチオピアで暮らし、地元の人に支えられた経験がある。住んでいる左京区は外国人居住者が多く、買い物などで困っている外国人の親子連れを見かけたり、日本人の集まりに行っても言葉が話せず、孤立して面白くなかったなどの声を聞き、2010年5月に子育て中の仲間3人でジャフォールを立ち上げた。ジャフォールは、エチオピア・グラゲ族の言葉で「ひろば」を意味する。

 昨年11月中旬に開かれた多言語子育てひろばには、12組約20人が参加。外国人、日本人親子がおもちゃで遊んだり、ボランティアの同志社大学生の絵本の読み聞かせなどを楽しんでいた。ジンバブエから昨年3月に来日したイボンヌ・ムズワさん(32)は「同じ子育て中の日本人や外国人と友達になりたかった」と2歳の息子を連れ、つどいに初めて参加した。ウクライナから16年前に来日したオレーナ・シガルさん(40)は生後9カ月の息子を抱きながら「保育園の申し込み方法を教えてもらいたい」と、日本在住が長くても子育て情報がなかなか得られないという。子どもを遊ばせながら母親らは子どもの服やフリーマーケットなどの口コミ情報で盛り上がっていた。代表の西さんは「外国の子育て事情などを話してもらい、お客様ではなく、いろんなことに参加してもらっている」と溶け込みやすいように気を配っている。

 ジャフォールは、発足直後からウェブサイトを立ち上げ、保育園や児童館のイベントなど子育てを中心に地域情報を英語に翻訳して掲載している。最新情報を提供するために毎日10〜20件ほどを更新している。現在、ひろば運営や翻訳などを行うメンバーは15人。ひろばには、これまで台湾、インドネシア、フィリピン、スウェーデンなど約30カ国・地域の外国人家族が訪れたという。依頼があれば近隣の区や市で「出張多言語子育てひろば」も開いている。代表の西さんは、参加者からのニーズを受け、昨年1月から通訳やさまざまな手続きに付き添うなど、日本での暮らしをより快適にするサポートサービス(有料)も始めた。

 代表の西さんは「こうしないといけない、こうじゃないといけないなどと思うと息苦しい。いろんな価値観が受け入れられる地域や社会になってほしい」と活動に思いを込めている。

jafore 日本語を母語としない家族のための子育て支援チーム

日本での子育てに悩む外国人家族が地域に溶け込めるようにと、2010年5月に発足。
メンバー15人。西恵味代表。事務局は京都市左京区高野の西さんの自宅。