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京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●広がる 地域の輪 しろくま会不安、悩み 率直に語り合う
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恋愛や就職、親亡きあとの問題などをめぐり、本音の意見が交わされたしろくま会の会合(2月11日、京都市中京区) |
知的障害や発達障害などがある兄弟姉妹を持つ若者たちにとって、自身の胸にわだかまる思いをさらけ出して話せる機会は少ない。
独立や就職、結婚が見えてくる年齢になると、兄妹の障害と正面から向き合い決断を迫られることもある。「恋人やその家族に自分の兄妹をどう説明するか」で迷うのは、典型的な事例だ。
しろくま会は、そうした20代、30代の人たちが抱える不安や悩みを率直に打ち明け、情報交換や相談のできる場として2011年から本格的な活動を始めた。
「私たちは兄や妹の障害で、親にも話しづらい体験をしています。兄妹に自分の将来を邪魔されたくない思いと、そんな自分に嫌悪感や罪悪感を抱くこともある。同じ境遇の人と素直な気持ちをぶつけあえたら、気持ちが楽になり、解決策も見いだせるはずです」。会の世話役の一人で、同志社大社会学部実習助手、松本理沙さん(32)は、会の開催意義をそう話す。
松本さん自身、3歳下の弟に障害があり、09年にしろくま会の母体となる「京都きょうだい会」(18歳以上対象)に参加して、「溜まっていた自分の思いを初めて吐き出せた」という。
しろくま会は2―3カ月に1回程度開かれ、毎回10人前後が参加。「だれでも無理なく参加できて話しやすい場」として長続きさせるため、会員制はとらず会則も定めていない。会場は京都市内のカフェなどを利用。遺伝カウンセリングの専門家を招いた勉強会なども開いてきた。
2月の日曜日、開催場所になった京都市中京区のカフェには、30代後半の社会人から高校3年生まで男女計12人が集まった。初参加や静岡県など遠来の人もあり、自己紹介を兼ねてお互いに兄妹の障害や家庭環境などを説明。共通する体験が多く、すぐに打ち解けて話し合った。
恋愛について語った社会人の女性(27)は、妹の障害を交際相手に伝えたが、受け入れられず交際が短期に終わった経験を披露。「恋愛ひとつとっても、私たちのハードルは初めから高く設定されている」と指摘した。
重いテーマの一つ「親亡き後」の問題では、「おまえが面倒を見なくてよい」と言う親の言葉の裏には「見てほしい」という本音が隠されていて、「将来、家を出て自立したい自分の決断が鈍りそう」と、不安を訴える声も聞かれた。
終了後、参加者に会合の感想について聞いたところ、ほとんどの人が「同じ境遇同士なので前提なしに本音で話ができる」「癒やされるし、有意義だった」と答えた。
障害のある兄妹を持つ若者が定期的に集まって話し合うグループは、東京など大都市部を除くと全国でもまだ数が少ない。
しろくま会では、一人で葛藤する若者に連携の輪を広げると同時に、首都圏のきょうだい支援の関係者とともに、全国各地の「きょうだい」をつなぐウェブサイトの設立を準備。新たに「きょうだい会」の設立を望む人たちへの支援や、講演活動も行っている。