ともに生きる・福祉のページ
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広がる 地域の輪

「くらしの応援隊」ボランティアの会

仲間は財産 楽しく人の役に
日常のこまごま、無償で活動(2018/04/23)


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春恒例の美化活動で、道路沿いに溜まった落ち葉やごみを拾い集めるくらしの応援隊メンバー(長岡京市・長岡天満宮前の府道)

 長岡京市の長岡天満宮で名物のキリシマツツジが花をつけ始めた4月初旬の朝、境内東側を走る府道沿いに男女十数人のグループがほうきやちり取りを手に集まった。「くらしの応援隊」が、恒例にしている春の美化活動だ。

 会員たちはそろいのグリーンのジャンパー姿で、一斉に道端にたまった落ち葉やゴミを拾い集めた。てきぱきと無駄のない動き。1時間余りで約300メートル間の道路沿いは、散髪した後のようにさっぱりした姿を取り戻した。

 「世の中の役に立ち、困った人を助け、自分の生きがいにつなげる。そんな思いで活動してきました。まちの美化は年4回行う大切な活動。実際の活動を市民に直接、見てもらえる貴重な機会です」。会長の橋本勝司さん(76)はそう話し、「支え合いの大切さ」を強調した。

 「応援隊」は26年前に結成され、現在の会員は63歳から84歳までの男女42人。男性はリタイア組が中心で、女性は家族を介護中や一人暮らしの人もいる。

 活動は、長岡京市に住むお年寄りや障害のある人が日々の生活で必要とする援助に応えるのを主眼としている。蛍光灯の交換から、障子・網戸の張り替え、庭木の刈り込みなど、福祉事業者や行政の手が届きにくい支援に無償で取り組んできた。作業を始める前には、訪問先の入念な下見を欠かさない。

 個人宅だけでなく、高齢者施設で定期的に洗濯物を折りたたむ活動のほか、熊本地震や九州豪雨のような災害時に、駅前で募金活動に立つこともある。

 多数の人手が必要な同市内の身障者スポーツ大会やバザーでも、会場設営や運営には欠かせない存在になっている。昨年度の実績まとめによると、計444回・2384時間の活動に、会員延べ1099人が参加した。

 幅広い活動ができるのは歌唱や習字など、特技を持った会員が多いため。高齢者施設で習字練習の補助に当たる杉田加代子さん(79)は「施設のお年寄りたちとコーラスや体操を共にするお伝いもしています。人の役に立つつもりが結局、自分のためにもなっている。会員仲間は私の財産だし、どんな活動も楽しくやっています」と話す。

 市民、団体からの要請を受け、応援隊につなぐのは、結成当初からかかわりが深い市社会福祉協議会。担当職員の西野寛子さんは「応援隊は豊富な経験とノウハウを積み、市域の福祉にとって貴重な存在です。これからもみなさんが元気で楽しみながら続けられるよう支えていきたい」と、エールを送る。

 結成から四半世紀がすぎたいま、「応援隊」の課題は会員の高齢化と新会員の確保。かつて60歳前後だった会員の平均年齢は現在77歳に。「作業の時間は、連続2時間を限度にしました」(橋本会長)という通り、活動を長続きさせる仕組みづくりが急がれる。新会員は年齢に関係なく、市社会福祉協議会で常時受け付けている。問い合わせは075(963)5508。

「くらしの応援隊」ボランティアの会
1992年、長岡京市内の有志で結成した任意団体。会員42人。モットーは「明るく元気に楽しく」。事務局は同市神足2の3の1、市総合生活支援センター内。