京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●広がる 地域の輪
子育てボランティア「さくら会」
お母さんの気が晴れる場に
歌や劇・・・親子で愉しんで(2018/07/30)
お母さんに抱かれたり、手を引かれた子どもたちを、パンダやサルのパペット人形が出迎えた。「僕たち、いまお山から出て来たところだよ。みんな仲良く遊ぼうね」。弾んだ声が響くと、見つめた子どもたちの表情が一瞬で笑顔に変わった。
京都市左京区の市原野児童館で開かれた7月の乳幼児向け「遊びの広場」。両手のパぺットを操る「さくら会」の亀山民代さん(70)と杉本道代さん(65)の息の合ったお話劇は、歌紙芝居や布製スクリーンを使ったパネルシアターなどへと続き、予定の30分はあっという間に過ぎた。
「親子が共に体を動かして楽しく遊べる場を地域に広め、保護者に生き生きと子育てできる自信をつけてあげたい」。会代表の亀山さんは活動の狙いを、親子の楽しい触れ合いだと強調する。
「さくら会」は、京都市子育て支援総合センター・こどもみらい館(中京区)で9年間活動を続けた子育てボランティアたちが活動終了後に集まって結成した。メンバーは50代から80代までの14人。元保育士や主婦など子育て経験豊富な女性ばかりで、2〜5人1組で活動することが多い。
「育児の悩みを吐き出し、ほっと気が晴れる場を作ってあげたい」。さくら会メンバーに共通する思いだ。
活動は定例開催場所の児童館と幼稚園、図書館、障害者施設のほか、要請を受けて夏祭りや児童館祭りなどに出張することもある。
定番にしている「遊びの広場」のメニューは、親と子の両方に配慮してバラエティー豊か。音楽を入れたリズム遊びやわらべ歌、本の読み聞かせ、紙芝居、エプロンシアター(ポケットから人形をとり出し貼り付けていく劇)、おもちゃ作りなど、子どもを飽きさせず、親子が自然に体を動かして楽しめる仕掛けがそろっている。
中高年者ぞろいのメンバーはまた、歌い継がれた童謡、唱歌の継承にもこだわる。ことしはとくに児童雑誌「赤い鳥」の創刊100年に当たることから、北原白秋や野口雨情の「あめふり」「シャボン玉」など、若いお母さんでは知らない歌もあえて取り上げている。
これまでの活動を通じ、初めは打ち解けなかったお母さんが「遊びの広場」でママ友を拡大。子ども同士も仲良くなり毎回、お弁当を共にする光景が、各所で見られるようになったという。
こどもみらい館時代から音楽を担当してきた杉本さんは「ボランティアがこれほど楽しいとは。一人一人の力は小さいくとも皆が集まると大きな力になると感じます」と話す。史上まれな酷暑の今夏だが、メンバーたちはそれでも予定された子どもたちの夏祭り会場は、欠かさず参加することにしている。
さくら会
2009年に結成された任意団体。就園前までの乳幼児と保護者を主な対象に子育て支援する。原則、無償で京都市内の児童館、図書館、幼稚園などで活動。年間の活動総数は約50回。京都市の福祉ボランティアセンター、児童館学童連盟などに登録している。
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