京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●広がる 地域の輪 京都精神障害者フットサルクラブ「おこしやす京都FC」自立心養い社会と接点
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第10回伏見龍馬カップで熱戦を繰り広げるおこしやす京都FCの選手たち(紫色ユニフォーム)=2月16日、府立伏見港公園体育館(提供写真) |
精神に障害のある人たちが、フットサル競技を通じて心身の健康を養い社会と接点を持つことで、障害への理解を深めてもらう―。「おこしやす京都FC」の設立趣旨には、自分たちが暮らす地域社会とバリアフリーになる願いが込められている。
クラブには京都と滋賀、奈良、大阪地域の男女約140人が登録。練習は京都市伏見区の府立伏見港公園体育館を主な会場に、20代から50代までの約30人が集まる。公式試合への出場は、精神障害で治療継続中の人に限られるが、練習には障害のない人やボランティアも参加できる。
2008年の発足当初、対外試合で1点も取れなかったチームは11年後のいま、所属する日本ソーシャルフットボール協会(JSFA)の関西大会で2年続けて優勝。全国大会で上位入賞を狙うまでに実力をつけた。
「チームが、自分たちの居場所という意識がみんなに根付いてきました。集まると、どうすれば強くなれるか、仲間を増やせるか、を話し合うなど自立心と勝ちたい気持ちが高まっています」。クラブ事務局長でコーチも務める岩根達郎さん(42)は選手の変化を喜んでいる。
自立意欲の表れとして、最近は選手が自分たちで練習場を見つけて予約したり、勤め先の企業にスポンサーになるよう働きかけ、試合では企業名入りのワッペンを付けてプレーする姿も見られるようになった。
中心選手のうち、北澤誠司さん(34)は、日本代表チームの一員に選ばれ昨春、イタリアで開かれた精神障害のある人たちの国際大会に出場した。国内大会では、北澤さんとともにクラブから2人の選手が、関西選抜チーム入りを果たしている。
クラブ代表の西川万志さん(35)は、「選手の技量が上がり、結果が出るようになってきました。でも、重要なのはこの活動を今後も長く続けていくこと。障害のある、なしを意識しない形で競技できる場をもっと増やしたい」と話す。
障害の枠を越えたオープンな大会としては、西川さんらが9年前に創設した「伏見龍馬カップ」がある。一般チームも参加できる決まりで、10回目を迎えたことし2月の大会には、社会人や、サッカー少年の保護者でつくるチームなど計12チームが出場。実力伯仲の熱戦が続き、障害のない人との力の差を感じさせない試合を行った。。
チームの当面の課題は、女性部員の増員。JSFAのルールでは、コートに立つ選手5人に、女子選手1人を加えることができる。現在、クラブの女子登録者は全体の10%以下で、今後は初心者の参加を促し比率20%以上を目ざす。
事務局では、入部希望者とともに練習に参加したり、大会運営や輸送などを支えるボランティアスタッフも随時、募集している。