ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
広がる 地域の輪

子育て支援グループ「スマイルプレイス」

親子サロンで交流や情報交換
困窮家庭対策にも意欲(2022/01/17)


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スマイルプレイスの親子サロンで交流する母親と子どもたち(昨年12月7日、大山崎町円明寺・円明寺ケ丘自治会館)

「子どもを叱る時の言葉を選ぶようになりました。否定語はやめ、本人の人格を傷つけない言い方に変えようと…」。京都府大山崎町の町中央公民館で昨年12月、「スマイルプレイス」が開いた「トリプルP」講座の最終日。出席した若い母親たちから、家庭で実践した子育て手法の結果が次々に報告された。

トリプルPは、心理学などに基づきオーストラリアで開発された「前向き子育てプログラム」。普及団体の認定講師の資格を持つ代表の幸山由佳さん(51)が5年前から導入して、自ら講師役を務めてきた。

講座は、乳幼児の保護者を対象に7回連続で開かれ、過去の修了者は33人。「家庭にルールができ、子育てが楽になった」「怒鳴ったり、言い争いが解消。穏やかに子どもと向き合える」と受講者の評価は高い。

「家庭内ルールを作って良い習慣、家族の良い関係性を築いたり、子どもの問題行動予防に有効なプログラムです。育児の困りごとや悩みを共有して、改善策を考え合う場にもなっています」。幸山さんは講座をさらに充実させ参加者を増やしたい、と意欲を示す。

スマイルプレイスは、相談相手が少なく育児に不安や戸惑いの多い親たちを支援しようと、幸山さんら同町内の女性3人が2007年に結成した。同町は府内でも出生率が高く、新しい支援グループの誕生は歓迎され参加者が30組に達したこともあった。

主な活動には、乳幼児対象の「親子サロン」(月1回)と、その縮小版「親子のひろば」(年8回)や「トリプルP」がある。不定期イベントとして、「ママとベビーのヨガ」や「料理教室」、「産後ケア講座」などを開催。父親向けプログラムも組んでいる。

中心的活動の「親子サロン」は、子どもを自由に遊ばせながら、交流や情報交換ができる場。スタッフによる絵本読み聞かせのほか、子育てへの気持ちを高めるため、会場で撮影・印刷した子どもの写真を使い、参加者がアルバムを作る取り組みに力を入れている。

サロンの参加者から、スマイルプレイスのスタッフに加わった今村恭子さんは「児童館が少ない地域なので、子どもを遊ばせながら育児の悩みを打ち分け共に考えるサロンはありがたかった。同年代のお母さんたちと知り合えるのは何よりの収穫になります」と話す。

コロナ禍で人が集まりにくくなった昨年は、発信機能の拡充へ動画投稿サイトにチャンネルを開設。男性6人で子育てのヒントを語り合った「令和のパパ座談会」の模様を公開した。

活動を通じて今、見えてきたのが地域で困窮する家庭の実態。子どもの健全な成長を目ざすグループとして、子ども食堂への協力や引きこもり対策などは「いずれ取り組むべき課題」(幸山代表)としている。運営費は京都府地域交響プロジェクトの支援事業交付金などで賄っているが「子育ては地域の支え合いで」とする立場から、地元企業の支援も今後、呼びかける。


スマイルプレイス
2007年、大山崎町内で子育て経験のある女性3人で開設。親子支援や多世代交流プログラムなどを通じ、地域ぐるみで子育てを支えあう環境づくりを目ざし活動している。保育士資格者を含めスタッフ8人。
連絡先 080(5700)5822