京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●広がる 地域の輪 乙訓障害者事業協会 乙訓もも長い自宅生活から第一歩
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多種多様な駄菓子が並び、子どもらはもちろん地元の人も気軽に訪れる「駄菓子屋」(10日、長岡京市開田2丁目) |
「例えば中学卒業から約20年ひきこもっていたが、そろそろ外に出てきかけている人がいるとした場合、社会体験や社会的スキルも少ないので、すぐに社会参加するにはハードルが高い。ひきこもり期間が長いほどハードルも高い。逆に言えば短ければハードルも低いので早く対応できれば」という思いもあるという。
居場所作りに、まき割りやハーブからとった精油を自分の好きな香りにブレンドしてアロマスプレーを作る教室、消しゴムハンコ作り、イラスト教室など各種のワークショップを開く。参加後には「これまで経験したことがないことを経験できた」の声が出る。先生役は地域住民。ひきこもりは地域の課題でもあるので、地域の人にも力を貸してもらおうという狙いだ。「自分のやれることで支援できるなら、協力しますよ」という反応が多く、支えられてきた。
ひきこもりの背景として核家族化や社会の競争激化もあるが、不登校や受験・就活の失敗、学校や職場になじめなかった、いじめにあったなど、どこかでつまずいたことがきっかけになるケースが多い。その際、「一概には言えないが、家族がどう受け止めてやるか、受容してやれるかが鍵になることもある」とされる。また、他人とのコミュニケーションが苦手な人が人間関係に問題を抱えたり、病気がきっかけだったり、きっかけは不明という人も少なくない。
藤田さんは「ひきこもりは、社会問題を身をもって提起しているという側面もある。いろんな原因があるので、対応は簡単にはいかない。乙訓地域で約1300人の支援対象者がいるとすれば1300人にオーダーメード型の支援が必要。周囲や家族、社会が一緒に考えていくことが大切だろう」と話す。
専門家や支援者、当事者にひきこもりの実際を話してもらう学習会を年4回開いている。ひきこもり支援や「解決」に正解はないので、支援者も行き詰まることがある。参加した支援者から「行き詰まっていたけれど糸口が見えそう」という声も出るという。
障害者福祉や生活介護など、ひきこもり支援に関連する人のネットワーク、顔の見える関係を作ろうと「絆サークル」の結成も進めている。来年2月の設立に向け、亀岡市など南丹地域で活動する同様の組織を視察した報告会を9月6日に長岡京市内で開く。「まずは、支援機関があるということをもっと知ってもらうことから始めたい」と展望している。