京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●広がる 地域の輪 認定NPO法人フォーラムひこばえ誰もが心安らぐ居場所に
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真新しい建物での学習支援活動で、大学生ボランティアと宿題に取り組む小学生(京都市右京区宇多野・認定NPO法人フォーラムひこばえ) |
それから約20年。現在は、児童館事業、障害児を預かる放課後等デイサービス事業(放課後くらぶ)、就労継続支援B型・生活介護事業、コミュニティーセンター事業の4本柱で活動している。正職員約20人を擁し、地域福祉に欠かせないNPO法人として確かな存在感を示している。
発足当初、まずは民家を借り、子どもたちの居場所をつくった。当時の学童保育は小学3年生までだったが、独自に6年生まで受け入れた。独自にヘルパーを雇い、障害のある子どもは制度外となる高校3年生まで受け入れた。「親が共働きかどうかや、年齢、障害の有無に関係なく、誰もが集まれる場を目指しました」と職員の正垣彩子さんは語る。
障害のある子の卒業後の働く場が必要になった。高校を卒業するタイミングで敷地内にB型事業所を立ち上げた。「やりたいこと、支えたいことが先にあって」工夫しながら取り組んでいると、後から制度が追いついてくるのが「フォーラムひこばえ」の歩みの特徴だ。
大事にしているのは、地域とのつながり。英語、ピアノ、リコーダー、お菓子づくり、手話、卓球、編物・手芸…。施設を開放し、さまざまなサークルが活動している。「ここでできた仲間の関係を地域にも広げていければ」。サークルをきっかけに、ボランティアとして福祉活動に参加してくれる人も現れている。
今年11月、念願の新たな建物がオープンした。木の香りが漂う真新しい建物はキッチンや図書スペース、工作コーナー、多目的スペースなどを備える。ここを拠点に「ひこばえYOU(よう)」と名付けた三つの新事業に乗り出す。
ひとつは地域食堂。月1回、格安でランチを提供する。「子どもだけでなく、ふだん忙しい保護者や、1人暮らしの高齢者、介護で疲れている人など誰でも来てもらえたら」と職員の江川恵さん。
もうひとつは無料の学習支援だ。大学生や元教員の地域住民が、小学4年生以上の子どもの勉強をみる。毎週火・木曜の午後4時〜6時30分と第1、第3土曜の午前10時〜正午に開く。
さらに、コミュニティースペースとして、月〜土曜の午前10時〜午後5時の間、地域の誰もが自由に使ってもらえる場を開放する。
正垣さんは「居心地のよい場にいるだけで人は落ち着き、心が整っていく。地域の人にとって、そんな心安らぐ居場所になっていければ」と願っている。